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手品の歌 #1
〈マジシャンが去った後には点々と宙に浮かんでいる女たち〉(穂村弘『シンジケート』) -
手品の歌 #2
〈手品師が覚えていろと言うカードいつ忘れればいいのだろうか〉(鈴木晴香『心がめあて』) -
手品の歌 #3
〈春の夜に妻の手品を見ていたり百円硬貨がしろじろと跳ぶ〉(吉川宏志『青蟬』) -
手品の歌 #4
〈ハンカチをかぶせるだけの子の手品われは見ており日曜の昼間に〉(松村正直『午前3時を過ぎて』) -
手品の歌 #5
〈「燃えるお札」のマジック習得せし夫が術後のわれの前にて演ず〉(栗木京子『けむり水晶』) -
手品の歌 #6
〈真夜中の妄想「日本の故郷をデビッド・カッパーフィールドが消す」〉(松木秀『5メートルほどの果てしなさ』) -
手品の歌 #7
〈ハンカチが鳩に変わって やるせない ハンカチに魂がないこと〉(佐藤弓生『モーヴ色のあめふる』) -
手品の歌 #8
〈大いなる球を何度もかくすレバノンの手品に飽きてしまう〉(髙瀬 一誌『火ダルマ』) -
手品の歌 #9
〈あらすじは帯に短く書かれおり海べりをゆく手品師と犬〉(吉川宏志『石蓮花』) -
手品の歌 #10
〈手品師が弾いたゆびの速度にて川をながれてゆくさくらばな〉(吉岡太朗『世界樹の素描』) -
手品の歌 #11
〈泣いていたあなたが僕の下手くそな手品で笑う 手品みたいだ〉(木下侑介『君が走っていったんだろう』) -
手品の歌 #12
〈柔らかいと思へば曲がるとスプーンをぐにやり曲げたり娘の指先〉(春日いづみ『地球見』) -
手品の歌 #13
〈少しずつ嫌いに傾きゆく人に手品をわれは見せているなり〉(花山周子『屋上の人屋上の鳥』) -
手品の歌 #14
〈丈のみじかい夢をはおって陸橋の上へあなたの手品見にゆく〉(服部真里子『遠くの敵や硝子を』) -
手品の歌 #15
〈手品師の右手から出た万国旗がしづかに還りゆく左手よ〉(石川美南『裏島』) -
手品の歌 #16
〈マジックの種を一式詰め込みし革の鞄は何処にゆきし〉(内藤明『薄明の窓』) -
手品の歌 #17
〈なにもくれなくていいから種明かししながら手品をやってほしいの〉(安田茜『結晶質』)
【手品の歌】リスト
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