手品の歌 #9

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手品の短歌

あらすじは帯に短く書かれおり海べりをゆく手品師と犬
吉川宏志『石蓮花』

吉川宏志の第八歌集石蓮花(2019年)に収められた一首です。

「帯」と聞いて想像するのは、本の帯、CDの帯、DVDの帯などでしょうか。

いずれにしても帯に書かれた言葉は、その本やCD・DVDを手にとってもらえるかどうかという点においてはかなり重要だと思います。帯の言葉ひとつで多くの読者やファンを獲得できることも可能でしょう。

さて掲出歌において、具体的な媒体が書かれていないため、本なのかCD・DVDなのかはっきりしません。帯に書かれたのは「あらすじ」。帯というのは限られたスペースですから、あまり多くの情報を詰め込むことは難しいでしょう。いかに魅力的な言葉で、情報を圧縮して伝えるかが鍵であり、それゆえに「短く」書かれているのです。

下句の「海べりをゆく手品師と犬」という部分を手掛かりとして読みたいところです。下句を、帯に書かれたあらすじの一部分だと想像するのが一般的な読み方かと思います。他には仮にDVDとした場合、下句はパッケージの写真や画像のイメージというふうにも捉えることができると思います。

今回は、本の帯であるとして、下句をあらすじの一部として読みたいと思います。それは「海べりをゆく手品師と犬」という非常に短い言葉だけで、本の物語の想像がふくらんでいくからです。

「海べり」「手品師」「犬」という組み合わせが、帯を見た人の想像を掻き立てるのにとても魅力的に感じます。文章や言葉の魅力とは長い短いではなく、その長さに合った凝縮度なのではないでしょうか。

「海べりをゆく手品師と犬」は帯という短いスペースにおいて、凝縮された言葉であり、情報が少ないがゆえにかえってイメージの自由度が上がっていると思います。

「手品」を直接詠った歌ではありませんが、「手品師」という一語が効いている歌でしょう。想像に対する広さと自由さによって一首に余裕が生まれ、読み手を一層惹き込む歌になっていると感じます。

本あらすじ
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