2023年3月– date –

〈日常にしずんで雨の東京は傘と傘とをぶつけるところ〉（伊波真人『ナイトフライト』）

〈天は傘のやさしさにして傘の内いずこもモーヴ色のあめふる〉（佐藤弓生『モーヴ色のあめふる』）

次の歌の【 ① 】に入る言葉は何？　〈生後間もない【 ① 】の放し飼いをしていますが動きませんよほとんど〉　（小坂井大輔）

〈食べてから帰れと置き手紙　横に、炒飯、黄金色の炒飯〉という巻頭歌で始まる、小坂井大輔の第一歌集は何？

〈全角で数字を打つと決めているひとのメールはすこし優しい〉（笹川諒『水の聖歌隊』）

内と外とをへだてるところから「ほか」に、また古びて乱れやすいところから「古る」「思ひ乱る」に掛かる枕詞は何？

〈ひとを待つひるのすさびに雨傘の無防備なひろがりを眺めて〉（荻原裕幸『リリカル・アンドロイド』）

〈傘を振り落ちないしずくと落ちるしずく何が違っているのでしょうか〉（工藤吉生『世界で一番すばらしい俺』）

〈いっぽんの傘をかざして半身と半身ひしめきあう雨のなか〉（山崎聡子『青い舌』）

〈鈍痛は遠くわたしにちらついて錆の匂いのかおる自転車〉（山崎聡子『青い舌』）

〈自転車の重さも軽さも楽しくて半月のような町をゆくのさ〉（雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』）

次の歌の【 ① 】に入る言葉は何？　〈引き出しをひっくり返す音に似た雷、あれは神の【 ① 】〉　（笹川諒）