手品の歌 #6

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手品の短歌

真夜中の妄想「日本の故郷をデビッド・カッパーフィールドが消す」
松木秀『5メートルほどの果てしなさ』

松木秀の第一歌集5メートルほどの果てしなさ(2005年)に収められた一首です。

デビッド・カッパーフィールドとは世界を代表するプロマジシャンの一人です。自由の女神や大型トラックなどを一瞬で消すといったイリュージョンで、一時期日本のテレビでも何度か特集が組まれました。

イリュージョンは仕掛けもさることながら、それ以上に演出が大切で、デビッド・カッパーフィールドは演出がとても巧かったため、多くの人々を惹きつけたのではないでしょうか。

さて掲出歌ですが、数々の大きな物を消してきたデビッド・カッパーフィールドが日本の故郷を消すという妄想をしている一首です。

ただ、この歌は、建設や開発により日本の美しい故郷が消えていく現在の状況、あるいは過疎化により故郷が住める場所ではなくなっていく状況を、デビッド・カッパーフィールドの消失イリュージョンに重ね合わせた機知の歌といえるでしょう。

しかし、そのように捉えるよりも、実際にデビッド・カッパーフィールドが本当に日本の故郷を消してしまうと捉えた方が一首としては面白いのではないでしょうか。自由の女神を一瞬で消したデビッド・カッパーフィールドなら、そんな壮大なこともやってのけるように思えてしまいます。

やはり、この一首は「デビッド・カッパーフィールド」という固有名詞がとても活きています。括弧内はテレビ番組の特集タイトルのようにも受け取ることができますし、キャッチ―な印象もあります。

日本の故郷は消えてほしくありませんが、もしデビッド・カッパーフィールドがこの壮大なイリュージョンに挑戦するならぜひ見てみたい、そう思わせてくれる一首です。

故郷風景
故郷の風景

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