鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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手品の歌 #9
〈あらすじは帯に短く書かれおり海べりをゆく手品師と犬〉(吉川宏志『石蓮花』) -
パンの歌 #10
〈投げこめばパンくずがよわい同心円を描いて水鳥がそれを壊して〉(鈴木ちはね『予言』) -
パンの歌 #9
〈ばかだらけです神様と告げ口をする 骨のないパンこんなにうまい〉(雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』) -
パンの歌 #8
〈つぶれてたクリームパンを鞄から出す今日ずっとたのしかったな〉(岡野大嗣『音楽』) -
パンの歌 #7
〈この夕べ抱えてかえる温かいパンはわたしの母かもしれない〉(杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』) -
パンの歌 #6
〈フジパン本社だが春昼にパンを焼く匂ひでここは有名になる〉(荻原裕幸『リリカル・アンドロイド』) -
パンの歌 #5
〈ぴったりに無塩バターを切れるのは「パンおいしいよ」の手紙のおかげ〉(ほんだただよし『パパはこんなきもち。~こそだてたんか~』) -
パンの歌 #4
〈食パンをキャンバスにする画家らしい作品は基本食べちやふらしい〉(山田航『寂しさでしか殺せない最強のうさぎ』) -
パンの歌 #3
〈灯の下にとりどりのパン集まりて神の十指のごとく黄昏〉(楠誓英『禽眼圖』) -
パンの歌 #2
〈手に持ったパンが腕より長いこと抱きしめてはくれないのだパンは〉(鈴木晴香『心がめあて』) -
パンの歌 #1
〈じきに雨やがて戦争ばらばらとクロワッサンは壊れるばかり〉(北山あさひ『崖にて』) -
コーヒーの歌 #7
〈コーヒーの湯気のむかふに逆光の顔がある表情は見えない〉(林和清『去年マリエンバードで』)