鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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チョコレートの歌 #10
〈経理部の声の小さい前田さんキットカットを垂直に割る〉(上坂あゆ美『老人ホームで死ぬほどモテたい』) -
傘の歌 #7
〈もうずっと泣いてる空を癒そうとあなたが選ぶ花柄の傘〉(木下龍也『きみを嫌いな奴はクズだよ』) -
傘の歌 #6
〈今年最後になるだろう雨のなか今年最後の傘をひろげて〉(山田航『寂しさでしか殺せない最強のうさぎ』) -
傘の歌 #5
〈日常にしずんで雨の東京は傘と傘とをぶつけるところ〉(伊波真人『ナイトフライト』) -
傘の歌 #4
〈天は傘のやさしさにして傘の内いずこもモーヴ色のあめふる〉(佐藤弓生『モーヴ色のあめふる』) -
メールの歌 #9
〈全角で数字を打つと決めているひとのメールはすこし優しい〉(笹川諒『水の聖歌隊』) -
傘の歌 #3
〈ひとを待つひるのすさびに雨傘の無防備なひろがりを眺めて〉(荻原裕幸『リリカル・アンドロイド』) -
傘の歌 #2
〈傘を振り落ちないしずくと落ちるしずく何が違っているのでしょうか〉(工藤吉生『世界で一番すばらしい俺』) -
傘の歌 #1
〈いっぽんの傘をかざして半身と半身ひしめきあう雨のなか〉(山崎聡子『青い舌』) -
自転車の歌 #9
〈鈍痛は遠くわたしにちらついて錆の匂いのかおる自転車〉(山崎聡子『青い舌』) -
自転車の歌 #8
〈自転車の重さも軽さも楽しくて半月のような町をゆくのさ〉(雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』) -
自転車の歌 #7
〈真正面に朝日をすえてチャリをこぎようやく人の影となりゆく〉(佐佐木定綱『月を食う』)