鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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自転車の歌 #8
〈自転車の重さも軽さも楽しくて半月のような町をゆくのさ〉(雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』) -
自転車の歌 #7
〈真正面に朝日をすえてチャリをこぎようやく人の影となりゆく〉(佐佐木定綱『月を食う』) -
自転車の歌 #6
〈老人の漕ぐ自転車が歩くよりはるかに遅いのに倒れない〉(鈴木晴香『心がめあて』) -
自転車の歌 #5
〈自転車のベルをかなぶん柄に塗るこの街のひと少しかわいい〉(山田航『寂しさでしか殺せない最強のうさぎ』) -
自転車の歌 #4
〈自転車に乗ってるオレと目が合ってボール蹴るのをやめた少年〉(工藤吉生『世界で一番すばらしい俺』) -
自転車の歌 #3
〈月までは行けないことは知っているそれでも強く自転車を漕ぐ〉(伊波真人『ナイトフライト』) -
自転車の歌 #2
〈サドルには日照雨が残り手の甲でかるく拭って漕ぎだすまでだ〉(榊原紘『悪友』) -
自転車の歌 #1
〈自転車に乗れない春はもう来ない乗らない春を重ねるだけだ〉(木下龍也『きみを嫌いな奴はクズだよ』) -
空白の歌 #6
〈〈予備1〉のロッカー再び空白となり暗闇をしまっておりぬ〉(佐佐木定綱『月を食う』) -
空白の歌 #5
〈陽だまりにとめどない黄よ落葉はまた逢うための空白に降る〉(江戸雪『声を聞きたい』) -
空白の歌 #4
〈樟の木の影も動かず大学にしづかな夏の空白があり〉(永井陽子『モーツァルトの電話帳』) -
空白の歌 #3
〈空白をひとつ潰せば空白はドミノのごとくまた降りてくる〉(田中ましろ『かたすみさがし』)