空白の歌 #6

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空白の短歌

〈予備1〉のロッカー再び空白となり暗闇をしまっておりぬ
佐佐木定綱『月を食う』

佐佐木定綱の第一歌集月を食う(2019年)に収められた一首です。

この歌は「ロッカーロック」という連作に収められた歌ですが、この連作の冒頭にも次のロッカーの歌が詠われています。

横にある〈予備1〉ロッカー使用する男とすれ違う月曜日

オフィスであれば、ロッカーを常時使うことになると、大抵番号や名前の札がつけられるものです。しかしこれらの歌に登場するロッカーは「〈予備1〉」のまま、つまり仮のままのロッカーです。そしてその仮のロッカーを使用している男がいるという状況となっています。

月曜日にすれ違う男が使っていたロッカーですが、掲出歌の段階ではそのロッカー〈予備1〉も使われなくなったのではないでしょうか。

ロッカーの中身がなくなったことを「空白」と表現しています。空白といえば何もない状態を表しており、そこに何かを詰め込もうという発想は浮かびにくいものですが、この歌では「暗闇」がしまわれていると詠われています。ここにこの歌の特長と巧さが表れていると感じます。

ロッカー自体を主語として、暗闇をしまっているといわれることで、ロッカーが急に存在感をもちはじめます。それは単に物を入れる空間ではなく、自らの意思をもった空間のように、その空間が息づいているような印象を読み手に与えてくれるでしょう。

〈予備1〉のロッカーは、再び別の誰かが使用するまで、ただ静かに、そしてじっと、暗闇をしまいつづけているのではないでしょうか。

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