コーヒー– tag –

〈ストローをせり上がりくるコーヒーの見えざる黒きストローなれば〉（染野太朗『初恋』）

〈地平線焼き切るときの火の匂い　簡易珈琲のふくろをひらく〉（鈴木加成太『うすがみの銀河』）

〈缶コーヒー飲み干すときはどのひとも空をあおいでいるオフィス街〉（toron*『イマジナシオン』）

〈紙コップのコーヒー売られあるためにここに宇宙を感じずにすむ〉（花山周子『屋上の人屋上の鳥』）

〈デッキでの電話を終えて戻り来る珈琲ことことテーブルに冷む〉（永田淳『1／125秒』）

〈待ってれば麦茶になると思ってた氷多めの父のブラック〉（水野葵以『ショート・ショート・ヘアー』）

この同人誌をイメージしたブレンドコーヒーが「自家焙煎珈琲 喫茶路地」から発売されている、内山晶太、染野太朗、花山周子、平岡直子の4名による短歌同人誌は何？

〈「出来上がり」ランプが灯るまで中の液体はまだコーヒーじゃない〉（小坂井大輔『平和園に帰ろうよ』）

〈ターキッシュ・コーヒーにあるトルコみは分からないけど乗り継ぎに飲む〉（榊原紘『悪友』）

〈コーヒーは人に淹れてもらうほうがうまい愛があってもビンタは痛い〉（上坂あゆ美『老人ホームで死ぬほどモテたい』）

〈欠けたままのコーヒーカップに息づいた記憶たどれば新緑のころ〉（田中ましろ『かたすみさがし』）

〈何処かに在るひだまりで繰り返し原田知世がブレンディを飲む〉（荻原裕幸『リリカル・アンドロイド』）