鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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人生の歌 #93
〈棒切れかなにかのごとき一生も棒切れに長さありてわれ泣く〉(渡辺松男『歩く仏像』) -
人生の歌 #92
〈(はじめから間違いだとしてひきつづき間違うとしても)生きなければね〉(野樹かずみ『路程記』) -
人生の歌 #91
〈今日もまた前回までのあらすじを生きてるみたい 雨が止まない〉(『風のアンダースタディ』) -
自動販売機の歌 #15
〈自販機に〈なまぬるい〉のボタン見つけたらわたしはきっと次の段階〉(鈴木美紀子『風のアンダースタディ』) -
ラーメンの歌 #16
〈カップ麵にお湯注ぐとき思うんだこうやってお湯降ってくるでしょ〉(大前粟生『柴犬二匹でサイクロン』) -
パンの歌 #26
〈いまはただ春の麒麟にあいたくて卵サンドをつくっています〉(岸原さや『声、あるいは音のような』) -
人生の歌 #90
〈美しい日没があすもあるのかと問う声にえぐられている日あり〉(百々登美子『盲目木馬』) -
人生の歌 #89
〈負ケ犬ニナルナとばかり教えられ負ける強さを知らずに育ち〉(大井学『サンクチュアリ』) -
人生の歌 #88
〈なにかに負けてゐるかのやうになにかを嘲笑つてゐるかのやうに夏を過ごした〉(染野太朗『初恋』) -
人生の歌 #87
〈眠りたくなつて眠つて目が覚めて食べる排泄する歩き出す〉(石川美南『架空線』) -
人生の歌 #86
〈編み物の初めのように先が長い二人静かに前を見ている〉(竹内亮『タルト・タタンと炭酸水』) -
人生の歌 #85
〈何もなき一日の何もなき川を身を乗り出して子ら眺めをり〉(梶原さい子『リアス/椿』)