鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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コーヒーの歌 #18
〈ストローをせり上がりくるコーヒーの見えざる黒きストローなれば〉(染野太朗『初恋』) -
人生の歌 #97
〈生くるとは慣れぬことがらに出会ふこと熟していくこと羊雲みあぐ〉(秋山佐和子『豊旗雲』) -
人生の歌 #96
〈もう若くないと思えど死には若き齢を生きて朝鵙に遇う〉(吉川宏志『鳥の見しもの』) -
人生の歌 #95
〈ノー・ウンチ、ノー・ライフ、ああ、この先の百年をウンチせよかし、おまへ〉(大松達知『ゆりかごのうた』) -
人生の歌 #94
〈死ぬまでにせぬこと出来ぬままのこと考へてゐる箸洗ひつつ〉(近藤かすみ『雲ケ畑まで』) -
人生の歌 #93
〈棒切れかなにかのごとき一生も棒切れに長さありてわれ泣く〉(渡辺松男『歩く仏像』) -
人生の歌 #92
〈(はじめから間違いだとしてひきつづき間違うとしても)生きなければね〉(野樹かずみ『路程記』) -
人生の歌 #91
〈今日もまた前回までのあらすじを生きてるみたい 雨が止まない〉(『風のアンダースタディ』) -
自動販売機の歌 #15
〈自販機に〈なまぬるい〉のボタン見つけたらわたしはきっと次の段階〉(鈴木美紀子『風のアンダースタディ』) -
ラーメンの歌 #16
〈カップ麵にお湯注ぐとき思うんだこうやってお湯降ってくるでしょ〉(大前粟生『柴犬二匹でサイクロン』) -
パンの歌 #26
〈いまはただ春の麒麟にあいたくて卵サンドをつくっています〉(岸原さや『声、あるいは音のような』) -
人生の歌 #90
〈美しい日没があすもあるのかと問う声にえぐられている日あり〉(百々登美子『盲目木馬』)