鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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人生の歌 #113
〈少し軽く生きんとおもう餡ぬきの饅頭のような雲浮くかなた〉(杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』) -
観覧車の歌 #8
〈観覧車は二粒ずつの豆の莢春たかき陽に触れては透けり〉(杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』) -
自動販売機の歌 #16
〈自販機のタバコを取りにかがむときあはれそびらのさらすかずかず〉(小笠原和幸『定本 春秋雑記』(セレクション歌人『小笠原和幸集』掲載)) -
麻雀の歌 #11
〈平和とは平和だ それは「基本」だが平和でできる役満は無い〉(松木秀『RERA』) -
人生の歌 #112
〈「わたしそこはこだはつてないから」と言ふときのこだはりをこそ恐怖と思へ〉(勺禰子『月に射されたままのからだで』) -
チョコレートの歌 #19
〈ガーナチョコひと区画ずつ折りながら桜の下に月の出を待つ〉(笹本碧『ここはたしかに 完全版』) -
人生の歌 #111
〈風景のやうに己れの一生をながめてはならぬとかくは思へど〉(小笠原和幸『定本 春秋雑記』(セレクション歌人『小笠原和幸集』)) -
補色の歌 #13
〈竹やぶなれば成人誌などは棄ててあり目に沁みて裸体の下着くれなゐ〉(川本浩美『起伏と遠景』) -
空白の歌 #12
〈吾のごとき沙よりちさきいきものも空白感は鯨のみこむ〉(渡辺松男『雨る』) -
補色の歌 #12
〈畑道のトマトの膚は日を浴びてみどりと赤のまじり合うころ〉(吉川宏志『鳥の見しもの』) -
人生の歌 #110
〈水飲めばみづのうちよりひと生れてわれとなりにき 水消えにけり〉(川野芽生『Lilith』) -
人生の歌 #109
〈かなしみが或る臨界を過ぎしときひとは笑ふといふ真実は〉(川本浩美『起伏と遠景』)