鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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傘の歌 #17
〈どれがわたしの欲望なのか傘立てに並ぶビニール傘の白い柄〉(魚村晋太郎『銀耳』) -
パンの歌 #16
〈ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた〉(岡野大嗣『サイレンと犀』) -
手品の歌 #12
〈柔らかいと思へば曲がるとスプーンをぐにやり曲げたり娘の指先〉(春日いづみ『地球見』) -
パンの歌 #15
〈トースター開けたら昨日のトーストが入ったままでゆっくり閉じる〉(島楓果『すべてのものは優しさをもつ』) -
傘の歌 #16
〈傘を買うのは恥ずかしい 片思いしているような恥ずかしさなり〉(染野太朗『あの日の海』) -
ラーメンの歌 #9
〈カップ麺に湯を入れPHSで蓋をして呼ばれないようまじないをする〉(犬養楓『前線』) -
手品の歌 #11
〈泣いていたあなたが僕の下手くそな手品で笑う 手品みたいだ〉(木下侑介『君が走っていったんだろう』) -
ラーメンの歌 #8
〈従業員食堂の醬油ラーメンは毛玉のようなネギをし乗せて〉(染野太朗『あの日の海』) -
自動販売機の歌 #6
〈暮れてのちほのかに灯り乾電池自販機天使突抜にあり〉(島田幸典『駅程』) -
ラーメンの歌 #7
〈向かい合い各々啜るラーメンの麺にはつかに絡む重力〉(鯨井可菜子『アップライト』) -
コーヒーの歌 #12
〈「出来上がり」ランプが灯るまで中の液体はまだコーヒーじゃない〉(小坂井大輔『平和園に帰ろうよ』) -
パンの歌 #14
〈食パンを山と麓に切り分けて夫婦二人のサンドイッチ成る〉(鯨井可菜子『アップライト』)