自動販売機– tag –

〈自販機のタバコを取りにかがむときあはれそびらのさらすかずかず〉（小笠原和幸『定本　春秋雑記』（セレクション歌人『小笠原和幸集』掲載））

〈自販機に〈なまぬるい〉のボタン見つけたらわたしはきっと次の段階〉（鈴木美紀子『風のアンダースタディ』）

〈煙草吸う友は煙草の自販機の場所に詳しいそれだけのことだ〉（松村正直『駅へ』）

〈空き缶をいくつも飾り自販機は夜の路地裏明るく照らす〉（伊波真人『ナイトフライト』）

〈モノクロに還るゆふやみ残業のデバッグルームに灯る自販機〉（山田航『さよならバグ・チルドレン』）

〈自販機の甘酒ぜんぶ抜き取って通過してゆく春のいたずら〉（toron*『イマジナシオン』）

〈昧爽のＳＡに星入りのサイダーを売る自販機ありき〉（鈴木加成太『うすがみの銀河』）

〈無駄なことばかりしようよ自販機のボタン全部を同時押しとか〉（岡本真帆『水上バス浅草行き』）

〈灯りたるジュースの自動販売機コイン入れれば枯れ野広がる〉（岡部桂一郎『一点鐘』）

〈しもつきの朝を照らして自販機は防犯灯よりも明るい〉（吉岡生夫『草食獣 第八篇』）

〈暮れてのちほのかに灯り乾電池自販機天使突抜にあり〉（島田幸典『駅程』）

〈製造課に若手社員が増えてきてジュースの売れ行きのびる自販機〉（奥村知世『工場』）