自動販売機の歌 #13

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自動販売機の短歌

空き缶をいくつも飾り自販機は夜の路地裏明るく照らす
伊波真人『ナイトフライト』

伊波真人の第一歌集ナイトフライト(2017年)に収められた一首です。

初句「空き缶」と詠われています。

なぜ主体は、自動販売機に陳列されている缶に液体が入っていないことを知っているのでしょうか。よく見ると、缶の蓋が空いていて、中身が入っていないことが確認できたのでしょうか。空き缶ではなく、本当に中身が入っている未開封の缶だということはないのでしょうか。

自動販売機に陳列されている缶はケースの中であり、実際に触れることはできません。ですから、その重さで中身が入っているか否かを判断することはできません。

色々と疑問は浮かびますが、主体は陳列されている缶が「空き缶」であることを知っているのです。

陳列が「空き缶」であることを知りながら、自動販売機で飲み物を購入すると、実際中身の入った缶が落ちてくるとなぜわかるのでしょうか。考えれば不思議なことです。「空き缶」が陳列されており、そのすぐ下に購入ボタンがあり、それを押すと、モノが落ちてくる仕組み。そこで落ちてくるモノは、陳列されているものと全く同じものではありません。場合によっては、見本と違うものが出てきたではないか、と怒る人がいても不思議ではないでしょう。しかし、大抵の人は、”見本と全く同じものではないモノ”が出てきても、それを素直に受け取ります。

空き缶を飾った自動販売機は、「夜の路地裏を明るく」照らし出しています。この明るさだけは確かなもののように思います。そしてこの明るさが確かであればあるほど、自動販売機自体の不確かさが際立っていくように感じます。

自動販売機とは何か、それを当たり前のように見つめてしまう人の目を改めて考えされられる一首だと思います。

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