自動販売機の歌 #11

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自動販売機の短歌

自販機の甘酒ぜんぶ抜き取って通過してゆく春のいたずら
toron*『イマジナシオン』

toron*の第一歌集『イマジナシオン』(2022年)に収められた一首です。

「甘酒」は夏の季語ですが、この歌で詠われている「甘酒」は冬に飲む甘酒として登場しているのでしょう。それはこの歌が収められた一連のタイトルが「冬の達人」であることからも窺い知ることができるでしょう。

一読、とても楽しい歌だと感じます。「いたずら」をしているのは「春」。どんないたずらかといえば、「自販機の甘酒ぜんぶ」を抜き取るいたずらなのです。

冬のイメージが強い甘酒ですが、「春」にとっては自販機にいつまでも甘酒があることは、その冬のイメージをずっと引きずったままの感じがあるのでしょう。自販機に並ぶ飲み物も春らしく、明るくさわやかなものを並べてほしい、そんな感じではないかと思います。

この歌では”風”という言葉は使われていませんが、「通過してゆく」「春」「いたずら」から、何となく”風”のイメージを想像します。春風がさっと自販機を通り過ぎていく、自販機を見てみると「甘酒」の部分だけがなくなっている、そんなイメージではないでしょうか。

「甘酒」は配置されていたところには、一体何の飲み物が置かれるのか、あれこれと想像してみるものも楽しいのではないでしょうか。

冬から春に変わるきっかけは様々あるでしょうが、この歌のように「自販機の甘酒」が抜き取られるところに注目したのは珍しく、そこにこそこの歌の着眼点のよさと面白さがあるのだと感じます。

甘酒
甘酒

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