自動販売機の歌 #10

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自動販売機の短歌

昧爽のSAに星入りのサイダーを売る自販機ありき
鈴木加成太『うすがみの銀河』

鈴木加成太の第一歌集うすがみの銀河(2022年)に収められた一首です。

昧爽まいそう」とは夜が明けかかっているとき、あかつきを指す言葉です。

歌集『うすがみの銀河』においては、掲出歌の二首前に次の歌があります。

〈ひぐらしの声に目覚める みづうみを遠く見下ろすSAサービスエリアに〉

この歌で「SA」には「サービスエリア」とルビが振られており、掲出歌の「SA」もサービスエリアを指していると見ていいでしょう。

「星入りのサイダー」が夜明けのサービスエリアと呼応し、雰囲気のある情景が浮かんできます。

「星入り」の「星」は現実に売られているサイダーではなく、まるで夢の世界にだけ売られているサイダーのように感じます。いや、実際は星のように見えるきらきらした金箔のようなものが閉じ込められたサイダーなのかもしれません。しかし、やはりこの「星入り」の「星」は、何かの喩えとしての「星」ではなく、夜空に輝くあの「星」として受け取りたいと感じます。なぜなら、この歌のたたずまいがそのように感じさせるからです。

「星入り」の雰囲気を後押ししているのが「昧爽」の語ではないでしょうか。

このサイダーは、お店の中で売られているものではありません。したがって、売店の店員のような人物はここには登場しないのです。

つまり、自動販売機で売られているところもこの歌のポイントになるでしょう。夜明けのサービスエリアの人の少ない感じが、「自販機」という無人の販売機ととてもマッチするように思います。

「自販機」の閉じられた空間に「星入りのサイダー」。サービスエリアで見上げたあかつきの空には、まだ星々が輝いていたのでしょうか。空の星とサイダーの星。スケールの大きさと明度の高さを感じます。

「昧爽のSA」には、きっと静かな時間が流れていたことでしょう。騒がしい時間ではなかったと想像できます。その静かさによって、星の明るさがさらに高まっていくように感じます。まるで、サイダーのパチパチとはじける音だけが聞こえてくるような気がします。

「星入りのサイダー」からは、視覚的なイメージはもとより、聴覚的な刺激が迫ってくるように感じます。

結句「ありき」であり、これは過去を回想している歌とわかるわけですが、先ほども述べた通り、現実そのままの過去というわけではなく、やはり夢の雰囲気を漂わせた回想のように感じる一首ではないでしょうか。

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