人生の歌 #204

当ページのリンクには広告が含まれています。
人生の短歌

まつさらの一日ひとひ一日を生きてゐる鳥の尾づかひ時に激しも
伊藤一彦『微笑の空』

伊藤一彦の第十歌集『微笑の空』(2007年)に収められた一首です。

「尾づかひ」とは、鳥などが尾を動かすことを意味する言葉です。ある瞬間、鳥が激しく尾を動かす様子を見たのでしょう。その鳥の姿は、今この一瞬を生きているということを改めて感じさせてくれたのではないでしょうか。

「まつさらの一日ひとひ一日を生きてゐる」が印象的ですが、「まつさら」からは、過去を引きずらずに現在を生きる姿が窺えるでしょう。

「鳥の尾づかひ」を見て、「まつさらの一日」を思ったのでしょうが、鳥だけに収まるわけではありません。

鳥が激しい尾づかいをする姿から、人間、もっというならば自分自身の生き方は「まつさらな一日」を生きているだろうかという問いが投げられているように感じます。

人は油断すると、つい過去の後悔や未来の不安をすぐ考え始めてしまいます。そうなると、現在を生きることが疎かになるででしょう。それは果たして今を生きているといえるのでしょうか。

昨日うまくいかなかったとして、昨日の失敗を引きずりながら今日を生きるよりも、今日はまた新しい一日が始まると考えて今を生きていく方が、よほど生の充実を感じることができるのではないでしょうか。

今日という日を「まつさら」と捉えられるかどうかで、今日をどれだけ充実して生きられるか、ひいては人生そのものをいかに充実した瞬間の連続で埋められるかということにつながるのではないでしょうか。

伊藤一彦の第十五歌集『光の庭』(短歌日記2017)では次の一首が詠われています。

一日をしんに諾はば一生を諾ふことになると言へる人

この歌は、『一日一生』という本で注目された天台宗大阿闍梨の酒井雄哉氏に関連して詠われた一首ですが、この歌も掲出歌に通じるところがあると感じます。

今日この一日をしっかり見つめて肯定して生きていくことができれば、その一日の連続によって一生が充実したものなるということでしょう。

今日という一日、今というこの瞬間をどれだけ見つめて生きているのかどうか。掲出歌の「鳥の尾づかひ」の激しさは、どれだけ今この瞬間を真剣に生きているのかという、鋭い問いかけとして迫ってきます。

鳥は過去や未来をあれこれ考えずに現在だけを生きているのかもしれませんが、その姿は見習うべきものなのかもしれないと感じる一首です。

¥2,828 (2026/10/22 07:51時点 | Yahooショッピング調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング

♪ みなさまの応援が励みになります ♪


俳句・短歌ランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次