ベビーシューズは色とりどりにならべらる人間になるはまづ歩くこと
佐藤通雅『強霜』
佐藤通雅の第九歌集『強霜』(2011年)に収められた一首です。
乳幼児の服や靴をそろえている店を訪れた場面でしょうか。最近は、乳幼児向けの服や靴をつくっているメーカーも増えてきて、多くの商品の中から選ぶことができるので、気に入ったものを購入することができるようになったのではないでしょうか。いや、商品が多すぎてどれにしようか逆に迷ってしまうくらいでしょう。
ベビーシューズも本当に色々な種類があります。この歌では、色とりどりのベビーシューズが並べられている光景を見て、主体は改めて「人間になるはまづ歩くこと」という思いを感じたのだと思います。
生まれたばかりの赤ん坊は歩くことができませんし、それどころか寝返りすら打つことができません。それがだんだんと成長していくにつれて、ハイハイができるようになり、手をつきながら立つことができるようになり、やがて二本足で歩くことができるようになっていくのです。
いわれてみると、生きていくというのは歩いていくことが基本になるのかもしれません。それは実際に地面に足をつけて歩くこともそうですし、人生を前に推し進めていくという比喩的な意味でも「歩く」ことが生きることそのものにつながっていると感じます。
「人間になるはまづ歩くこと」とあり、生まれたばかりで歩くことができない状態でも「人間」であることは間違いないと思いますが、自立して生きていくという意味においては、歩くことができて初めて「人間になる」といえるのかもしれません。
ベビーシューズは、「歩くこと」をこれから始めるに当たり、その象徴的なものとして主体の目に映ったのではないでしょうか。
色とりどりというのもいいと思います。これが全員同じ色のベビーシューズを履いていたのでは、同じような人生の方向になりそうで味気なく感じます。カラフルであり、さまざまな色のベビーシューズが履かれるからこそ、その後の向かう道が変わってくるようなイメージが浮かんできます。
「歩く」とは何なのかを改めて考えさせられますが、これから歩こうとする子どもの期待感があふれている一首ではないでしょうか。

