人生はおもちゃ付きお菓子のお菓子 食べるのが本質ではないの
丸田洋渡『これからの友情』
丸田洋渡の第一歌集『これからの友情』(2025年)に収められた一首です。
「人生とは何か」という定義のような歌ですが、「人生はおもちゃ付きお菓子のお菓子」という見立てが、端的ながら鋭い指摘として伝わってきます。
「おもちゃ付きお菓子」で真っ先に思い浮かべたのはグリコのキャラメルやフエラムネですが、それに限らず、最近はさまざまなお菓子におもちゃがついています。
お菓子売り場に売っているにも関わらず、お菓子がメインというより、おもちゃがメインなのではないかと思うお菓子も見かけるでしょう。お菓子は申し訳程度にしか入っておらず、その販売価格のほとんどはおもちゃの分ではないかと思われるものもあります。
これを踏まえて歌を読むと、「おもちゃ付きお菓子のお菓子」には、やはり主役ではなく脇役であるという主張が表わされているのではないでしょうか。「食べるのが本質ではないの」はその表れであり、食べる以外の部分、つまりおもちゃで遊ぶ部分が「本質」になるのかもしれません。
自らの生命を維持するには食べることが必要になりますが、「食べるのが本質ではないの」といわれると、それさえも人生においては重要でないことのように感じられます。
いいかえると、生き延びるためには食べることは欠くことはできませんが、生きるためには必ずしも食べることが絶対ではないということでしょう。
人生を生きるということは、単に食べて栄養を得て命を永らえるということではなく、「おもちゃ付きお菓子」の「おもちゃ」の方をいかに味わい、楽しめるかということになるのではないでしょうか。
「おもちゃ付きお菓子」を買うときは、お菓子が目当てではなく、おもちゃの方にワクワクして買う人がほとんどでしょう。そのおもちゃにどれだけ心躍らせることができるかが人生そのものなのだと思います。
箱を開けるまでどんなおもちゃが飛び出すかわかりません。その予想できないさま、願い通りのおもちゃが出てくる確率、期待外れに終わる結果など、これらすべてが人生で今後起こり得るイベントに重なるのではないでしょうか。
「おもちゃ付きお菓子」の「おもちゃ」にいつまでも憧れ、ワクワクすることができる人生はやはり素敵なんだと感じさせてくれる一首です。

