人生の歌 #199

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人生の短歌

結果より過程を見むとする評価人傷つけてゐるかもしれぬ
篠弘『凱旋門』

篠弘の第五歌集『凱旋門』(1999年)に収められた一首です。

結果より過程が大事なのか、それとも過程より結果が大事なのか。

これは永遠のテーマかもしれません。もちろん、いい結果が出て、そこに至るまでの過程も申し分なければ、それに越したことはありません。しかし、大抵の場合は、どちらかだけがうまくいって、片方はうまくいかないか、結果も過程も両方うまくいかないケースの方が多いでしょう。

両方うまくいくことが少ないからこそ、結果と過程のどちらかを選択するのであればどちらがより重要なのかという問いが生まれるのだと思います。

掲出歌は、仕事の場面でしょうか。主体は評価をする側の立場なのでしょう。主体の評価基準は、どちらかといえば過程重視であることが窺われます。もちろん結果がどうでもいいというわけではないでしょうが、「結果より過程を見むとする」考えをもっていることが詠われています。

しかし、自身のその評価基準を見つめ直してみると、人を傷つけているかもしれないのではないかとふと思ったのでしょう。ここでいう「人」は、評価の対象となるその人を指しているでしょうし、また同時にその対象者以外の周りの人も指しているでしょう。

特定のひとりに対して過程重視の評価を行えば、結果重視の周囲の人たちはあまりいい顔はしないでしょう。なぜ自分は結果を出しているのに、結果を出していないあの人が評価されているのだと憤ることもあると思います。また、それら周囲の人は結果を出しているのに、なぜそれほど評価されないのだと疑問に思うこともあるでしょう。

また過程重視で評価された人は、自分は結果を出していないのに思いのほか評価されてしまい、うれしい反面、結果を出している周囲の人たちに対して申し訳ないような、引け目を感じるような気持ちを覚える人もいるのではないでしょうか。

人が評価する以上、評価には必ず主観が入り、完全無欠の客観的な評価というのはほぼないに等しいと思います。評価は、結果と過程の両方のバランスを考えながら行う難しさがつきまとうでしょう。しかし、そのようなことは承知でどこかで割り切って評価を下す必要があり、評価する者はやはり自分の基準を信じて評価する以外にないのではないでしょうか。

自分の評価が人を傷つけているかもしれないという自覚をもって評価を行う主体の姿に、人間らしさを感じるとともに、人との関係性を常に意識している視線が感じられ、印象深い一首だと感じます。

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