『「詠む」からはじめる ときめく短歌入門』挿元おみそ

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「詠む」からはじめるときめく短歌入門
質問者

短歌に興味はあるんだけど、どうやってつくったらいいかわからない。短歌のつくり方を教えてくれる入門書はないかなあ?

これから短歌を始めたいけどつくり方がわからないという人が、短歌づくりのポイントを知ることができる一冊として、挿元おみその『「詠む」からはじめる ときめく短歌入門』をあげたいと思います。

著者の挿元おみそは、自身でも書いていますが、歌集を出したことのない歌人です(本人は、プロの歌人ではなく、「純粋に短歌がすきなだけの短歌ヲタク」や「歌詠み」と当書に書いています)。

一般的に、短歌入門書を書く場合、歌人として活動実績があるとか、歌集をいくつか出しているとか、ある程度の経験を経てからが多いと思います。

しかし、当書は、まだ歌集を出したことのない大学生が書いた短歌入門書です。ただ、本人もいっているように、歌集を出していない人の目線だからこそ初心者の気持ちが一層わかるのではないでしょうか。

著者自身は、次のように述べています。

私自身、短歌を生業なりわいとする未来を目指しています。

なぜなら、私にとって短歌は単なる趣味ではなく、生きることそのものだからです。

ここに、短歌に対する並々ならぬ思いを感じます。

著者は、「短歌のおみそちゃん」というYouTubeチャンネルで「1分で短歌解説」などの動画配信もしています。

当書は、著者自身が詠んできた短歌が取り上げられたり、応募してきた公募についての体験が述べられたりと、著者の人生そのものの一端を味わうことができる一冊ではないでしょうか。

当書は、そのタイトルの通り「読む」よりも「詠む」すなわちつくることに焦点が当てられています。短歌をどうやってつくればいいのかわからない、これから短歌を始めようと思っているという方には、特に参考になる一冊だと思います。

当書を通して、実際に短歌をつくりながら、短歌の楽しさを味わってみてはいかがでしょうか。

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目次

当書のもくじ

まずは『「詠む」からはじめる ときめく短歌入門』のもくじを見てみましょう。

はじめに

Lesson 1

短歌の8個の基本ポイントを知ろう!

  • 短歌は「三十一文字(みそひともじ)」の自由な詩
  • 短歌と俳句ってどう違うの?
  • 楽しく短歌を詠むためには、8つのポイントをおさえよう
  • 初心者が守るべきポイント① 音数を守る!
  • 初心者が守るべきポイント② 話し言葉で詠む!
  • 初心者が守るべきポイント③ 「感動」よりも「面白かったこと」を詠む
  • 初心者が守るべきポイント④ 具体的な固有名詞を意識する
  • 初心者が守るべきポイント⑤ 句読点を多用しない
  • 初心者が守るべきポイント⑥ 嘘をついてもいいから、陳腐な表現にしない
  • 初心者が守るべきポイント⑦ 短歌は「情景と心情」のバランスが命!
  • 初心者が守るべきポイント⑧ 余白を大事にする

コラム1 短歌づくりで慣れてきたら気にしたい、二つのポイント

Lesson 2

実際に短歌を作ってみよう!

STEP 1:短歌の第一歩! まずは31音に合わせよう

  • 同じ意味の言葉を使っていないか?
  • 別の言葉に言い換えができないか?
  • 語尾や語順を変えられないか?
  • 省略できる部分はないか?

STEP 2:ストーリーから短歌を作る!

  • ストーリーを書き出す
  • 情報を整理する
  • 短歌にしてみる

◆短歌ドリル ストーリーを作ろう!

STEP 3:ひとつに収まらない「感情」を上手に表現しよう

  • 生まれる感情は、二つ以上挙げるべき
  • 感情は「そのまま」表現しないのが鉄則
  • 比喩ではなく、「言い換え」をする
  • 慣用句を自分なりに言い換えてみる
  • 逆の言葉を使うことで、感情を強調する
  • フレーズから考えて、そこから感情を紐づける

◆短歌ドリル 感情を言い換えてみよう!

STEP 4:シチュエーションから一筋縄ではいかない感情を考えてみる

  • ポイント 1 読み手を裏切る「ギャップ」を入れよう
  • ポイント 2 どこから見ている?「カメラの視点」を変えてみる
  • ポイント 3 あなたにしか詠めない「違和感」を入れる

STEP 5:「オンリーワン」の情景を作ろう

  • 情景を「使い古された表現」にしない
  • ありふれた情景を視点のおもしろさで変えていく
  • 「オノマトペ」を自分の言葉に言い換えてみる

◆短歌ドリル 上の句 or 下の句を考えてみよう!

題詠にチャレンジ! お題が生む短歌の可能性を考えよう

◆短歌ドリル 題詠に挑戦しよう!

31音だけどしっくりこない。そんなときの推敲チェックポイント

  • 1 意味の重複がないか?
  • 2 音数を無駄にしていないか?
  • 3 「それで?」で終わってないか?
  • 4 誰にでも伝わる言葉を選んでいるか?
  • 5 どこかで聞いたことあるフレーズになってないか?

おみそ私選短歌から紐解く、短歌の作り方解説

コラム2 プロの歌人とは何者か

Lesson 3

自分の短歌を人に見てもらおう

  • 自分の短歌を世に出す第一歩「公募」とは?
  • 公募に出すことで、良作に出会える機会が広がる!
  • どうやって公募を探す?
  • 挑戦する公募の選び方とチェックポイント
  • 公募に応募する前に知っておきたい「ルール」と「著作権」
  • おみそ厳選! 初心者におすすめの公募5選
  • 短歌結社に入るという選択肢
  • 短歌結社はどうやって探せばいい?
  • 結社以外にもある! 短歌活動団体
  • 歌会に行ってみよう!
  • いろいろある! 短歌コミュニティの世界
  • 評価だけでなく、添削されることの重要性
  • 紙面上で実践! おみその短歌添削講座

コラム3 短歌が作れない! スランプから抜け出すためにできること

Lesson 4

自分の現代短歌を知ろう! おすすめ歌人とおすすめ本

  • 現代短歌には、大きく分けて2種類ある
  • リズムから見る、現代短歌の自由な表現
  • 読むことで詠む力を育てる! 短歌を学ぶ上でおすすめの本
  • 必ず触れてほしい歌人の二大巨頭・俵万智さんと枡野浩一さん
    • 短歌をやる人ならば避けて通れない存在・俵万智さん
    • 短歌の可能性を追求し続ける歌人・枡野浩一さん
  • 独断と偏見で選ぶ! 現代短歌の旗手たち7人
    • 次世代を担う短歌の申し子・木下龍也さん
    • 直球の情熱と鋭い感性が光る石井僚一さん
    • 国境を越えて活躍する次世代歌人カン・ハンナさん
    • 主人公性のない等身大の明暗 平出奔さん
    • シンプルだけど、新しい表現を常に追求する岡野大嗣さん
    • 胸のざらつきや揺らぎを見逃さず描写する西村曜さん
    • 青春のきらめきを短歌に託す近江瞬さん

大きく四つのパートに分かれています。

最初のパートLesson1では、短歌を「詠む」際の8つのポイントについて書かれています。当書は「詠む」ことに主眼を当てた一冊であるため、最初のパートから「詠む」ためのポイントがはっきりと示されています。

続くLesson2では、ポイントを押さえたうえで、さらに短歌をつくるにはどうすればいいかをSTEP1からSTEP5にわけて解説しています。

Lesson3は、つくった短歌をどのように公表したり、他人に見てもらったりすればいいかが具体的に書かれています。

最後のLesson4は、具体的に代表的な現代短歌の歌人をピックアップして、その魅力に触れています。

おすすめのポイント

それでは、当書の特長やおすすめのポイントを順番に見ていきます。

初心者が守るべき8つの基本ポイントが明確

当書は、まず初心者が守るべき8つの基本ポイントを示しています。

  • 音数を守る!
  • 話し言葉で詠む!
  • 「感動」よりも「面白かったこと」を詠む
  • 具体的な固有名詞を意識する
  • 句読点を多用しない
  • 嘘をついてもいいから、陳腐な表現にしない
  • 短歌は「情景と心情」のバランスが命!
  • 余白を大事にする

短歌をつくるに当たって、色々なルールやポイントがありますが、守るべきポイントは8個であると明確に示しているのがわかりやすいと思います。

もちろん守るべきポイントというのは、歌人によってさまざまな考えがあると思います。ここに取り上げられた8つのポイントが絶対ではありません。しかし、これから短歌を始める人にとって、ポイントがあれもこれもとたくさんあるとどうすればいいか迷ってしまいます。ですから、最初はまずここに書かれた8つの基本ポイントを意識するのがいいと思います。

短歌づくりに慣れてきたら、他の入門書や意見を取り入れて、徐々に自分だけのオリジナル基本ポイントをつくっていけばいいと思います。

この8つのポイントは、著者自身が短歌をつくるうえで集約されて、意識してきたポイントなのでしょう。それぞれのポイントについては、具体的な例も取り上げられて説明されていますので、イメージが湧きやすく、今後の作歌に生かせるようにポイントを習得していくことができるようになっています。

「短歌ドリル」で実際に頭と手を動かせる

Lesson2では実際に短歌をつくってみるパートとなっていますが、この中に「短歌ドリル」なるものが置かれています。短歌のつくり方を説明した後に、読者が実際に頭と手を使って考えるように、ドリル形式で問題がセットされているのです。次のようなドリルが登場します。

  • ストーリーを作ろう!
  • 感情を言い換えてみよう!
  • 上の句 or 下の句を考えてみよう!
  • 題詠に挑戦しよう!

ドリルは書き込みができるスペースが設けられ、実際そこに書き込むことができるようになっています。

ドリルがないと、読者はついつい読むだけで納得したような気になってしまいますが、ドリルがあることで、今読んできたつくり方を実際に試すことができます。ドリルをやっている中で、わからなくなれば、説明部分を読み返せばいいと思います。ドリルというのは、短歌をつくってみるパートとして有効な方法ではないでしょうか。

具体例が豊富

引用されている歌が多く、さまざまな歌に触れることができます。

特に、Lesson2では、短歌をつくるSTEP1~5に合わせて、それぞれ例歌が取り上げられ、イメージしやすいようになっています。また、「おみそ私選短歌から紐解く、短歌の作り方解説」においては、著者自身が過去につくった短歌が登場し、作成過程について知ることができるようになっています。

Lesson4では、著者が好きな歌人の歌が、歌集とともに紹介されており、これからどんな短歌関連の本や歌集を買えばいいか迷っている人の参考になること間違いなしです。

取り上げられている短歌は、特に歌人・俵万智の歌が多く、著者が敬愛している様子が窺えます。

「詠む」は、「読む」ことで成長すると考える著者の思いが、多くの例歌に現れているように感じます。

公募について詳しく紹介されている

短歌の公募について、ひとつのパートを割いて詳しく紹介されていることもポイントでしょう。

短歌入門書といえば、短歌の詠み方や読み方が中心となり、公募やコンテストについて実体験とともに紹介されている本は少ないと思います。

ですので、公募のやり方、メリットについて書かれているのはとても貴重な内容だと思いますし、何より読んでいてワクワクしてきます。自分も挑戦してみようという気が起こってくると思います。

公募の探し方、公募に応募する際に確認しておきたいことや注意点なども知ることができるようになっています。また、おすすめの公募5選も取り上げられているので、これから公募に応募してみようという方は参考になるのではないでしょうか。

まとめ

『「詠む」からはじめる ときめく短歌入門』を読むと得られること

  • 初心者が守るべきポイントが整理され、わかりやすく理解できる
  • 「短歌ドリル」が設けられているので、実際につくってみる際のサポートとして役に立つ
  • 取り上げられている歌が豊富で、多くの短歌に触れることができる
  • 公募について詳しく知ることができる

当書は、プロの歌人の目からではなく、まだ歌集を出したことのない歌詠み(著者本人が「歌詠み」といっています)が書いた入門書である点が特徴的だと思います。ですから、当書にはプロの歌人とは違う視点が表現されている部分もあるのではないでしょうか。

特に、これから短歌を始めようという方には、著者がまるで伴走者のようについてくれるような感じで、読み進めることができると思います。

ドリルがあったり、引用歌がたくさん掲載されていたり、短歌を「詠む」ことにつながり、役立つようになっています。

もちろん、ある程度短歌に親しんできた人にも興味深い内容になっていますし、新たな発見があるのではないでしょうか。

書籍・著者情報

書籍情報

著者挿元 おみそ
発行扶桑社
発売日2025年3月27日

著者プロフィール

挿元 おみそ

2003年生まれ。東京都出身。
14歳で短歌を始め、初めての短歌展である『かつて愛した言葉展』の開催と同時期に、これまでにない形で短歌を盛り上げようと、SNSで「1分で短歌解説」の発信を始める。 今まで短歌に触れたことのない人に向けて、現代口語短歌がいかに楽しいかを説き、短歌の世界の裾野を広げるために日々精力的に活動している。
(当書著者略歴より)

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