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無数の歌 #1
〈青空に浮かぶ無数のビー玉のひとつひとつに地軸あるべし〉(山田航『さよならバグ・チルドレン』) -
無数の歌 #2
〈砂時計のあれは砂ではありません無数の0がこぼれているのよ〉(杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』) -
無数の歌 #3
〈白くひかる無数の小部屋を目に映しエクセルでつくる販売計画〉(ユキノ進『冒険者たち』) -
無数の歌 #4
〈それでおまえはどうしたいのだ 海原にひかり無数の切れ込みがある〉(松村正直『紫のひと』) -
無数の歌 #5
〈ひらひらと無数のリボンは誰がために揺れてゐるのか扇風機売り場〉(知花くらら『はじまりは、恋』) -
無数の歌 #6
〈この世には子どもも大人もいやしない無数のただの私がいるだけ〉(雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』) -
無数の歌 #7
〈五弁の桜、五つに分かれ散りおれど無数のなかにまぎれてゆきぬ〉(吉川宏志『石蓮花』) -
無数の歌 #8
〈照らされた無数のほこりしばらくは息をするのを我慢してみる〉(木下龍也『つむじ風、ここにあります』) -
無数の歌 #9
〈太陽の無数の命生む力無数の命滅ぼす力〉(香川ヒサ『ヤマト・アライバル』) -
無数の歌 #10
〈あかあかと腕に無数の湿疹のひとつぶひとつぶが痒がりてゐる〉(西村美佐子『猫の舌』) -
無数の歌 #11
〈けふの疲れに軀はしづみざらざらと無数の星に覆はるる夜〉(横山未来子『水をひらく手』) -
無数の歌 #12
〈聖堂をもとおる蔦のくれないは無数の舌のひらめくごとし〉(島田幸典『駅程』) -
無数の歌 #13
〈鉄橋は無数のネジに締められて線路の音は調律される〉(竹内亮『タルト・タタンと炭酸水』) -
無数の歌 #14
〈玻璃窓の外には波の無数の目 海浜ホテルのカーテンのむこう〉(松平盟子『うさはらし』) -
無数の歌 #15
〈夕立は眼鏡を洗うためにある 楠の枝葉に無数のふるえ〉(笠木拓『はるかカーテンコールまで』) -
無数の歌 #16
〈天神の樹の電飾のあたたかき無数さよならのやうに無数〉(染野太朗『初恋』) -
無数の歌 #17
〈ハニカムの形のベンチが無数ありどうやって座るのか分からない〉(九螺ささら『ゆめのほとり鳥』) -
無数の歌 #18
〈それぞれに目的があり乗り継いだ僕たちの無数のJR〉(青松輝『4』) -
無数の歌 #19
〈高層の無数の窓に見下ろされ信号無視の一歩踏みだす〉(中津昌子『風を残せり』) -
無数の歌 #20
〈ひとひらの風花をまなじりに受けすでに無数のかざはなと知る〉(渡辺松男『雨る』) -
無数の歌 #21
〈変声期ひと知れず終え少年の五線譜に無数のゆりかもめ〉(鈴木加成太『うすがみの銀河』) -
無数の歌 #22
〈酢のなかに無数の小さき眼がありてある夜またたきながら殖えゆく〉(河野美砂子『無言歌』)
【無数の歌】リスト
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