人生の歌 #54

当ページのリンクには広告が含まれています。
人生の短歌

今日という日もまた栞 読みさしの人生という書物にすれば
萩原慎一郎『滑走路』

萩原慎一郎の第一歌集滑走路(2017年)に収められた一首です。

人生を「書物」に、そして今日を「栞」に喩えた歌で、長い時間を見つめる目と、短い時間を見つめる目を同時に感じます。

「書物にすれば」は、書物にしてみればといった意味合いでしょう。

人生を一冊の書物として喩えた場合、生きていくということは、その本が終わりを迎えるまでは常に「読みさし」の状態にあるわけです。

そして「今日という日」は、読み進めてきたところ、つまり栞が挟まれているところに位置しているでしょう。昨日が終われば今日がやってくるように、栞は日々少しずつ進んでいきます。

全体として、ゆったりとした詠い方が心地よく感じます。「今日」ではなく「今日という日」、「また」の挿入、一字空け、「人生という」の「という」のあたりに、そのゆったりした感じが表れているのではないでしょうか。

この歌からは、人生に対する情熱のようなものは感じませんが、同時に極端な諦念のようなものも感じず、どちらかというと人生を冷静に見つめている様子が窺えます。

いいかえると、人生を俯瞰する視点から詠まれた歌なのだと思います。このようにやわらかく今日や人生を捉える見方に好感がもて、語の選択や順番も相まって、ゆったりとした詠いぶりが感じられ、印象に残る一首です。

栞ひも
栞ひも
¥638 (2021/11/24 20:40時点 | Amazon調べ)

♪ みなさまの応援が励みになります ♪


俳句・短歌ランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次