鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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手品の歌 #16
〈マジックの種を一式詰め込みし革の鞄は何処にゆきし〉(内藤明『薄明の窓』) -
手品の歌 #15
〈手品師の右手から出た万国旗がしづかに還りゆく左手よ〉(石川美南『裏島』) -
人生の歌 #78
〈ビル風に髪がおどってくれたからとてもちいさな決心をした〉(安田茜『結晶質』) -
傘の歌 #31
〈徹夜明け傘をさすには微妙なる雨降る中を茫々とゆく〉(松木秀『5メートルほどの果てしなさ』) -
直線・曲線の歌 #10
〈湾というやさしい楕円朝あさにその長径をゆく小舟あり〉(松村由利子『耳ふたひら』) -
直線・曲線の歌 #9
〈なだらかな曲線描く眼鏡入れ書架の片隅に置かれてゐたり〉(山田航『さよならバグ・チルドレン』) -
人生の歌 #77
〈かがまりてもやしのひげ根をとる厨 些事にこだはる日は平和なれ〉(蒔田さくら子『標のゆりの樹』) -
直線・曲線の歌 #8
〈やわらかな曲線である 新入学児なみなみ載せたプラットホーム〉(安藤美保『水の粒子』) -
直線・曲線の歌 #7
〈白鳥の首のカーヴのあの感じ、細い手すりに手を添えている〉(鈴木加成太『うすがみの銀河』) -
直線・曲線の歌 #6
〈丁寧に落ち葉を吸っていく機械が曲線の多いフォルムをしていた〉(鈴木ちはね『予言』) -
直線・曲線の歌 #5
〈水引を指でなぞれば曲線の果てにとつぜん取り残されて〉(櫻井朋子『ねむりたりない』) -
直線・曲線の歌 #4
〈使い捨てコンタクトレンズひからびて記憶のカーブをぐんにゃり描く〉(俵万智『チョコレート革命』)