短歌クイズ Q.277

猫背にも種類があると思う日と思わない日で命が変わる

掲出歌は、森口ぽるぽの第一歌集『インロック』の連作「インロック」に収められた一首です。

まず驚かされるのが、猫背にも種類があるという捉え方です。

猫背は、猫背という枠組みの中でひとくくりに捉えていましたが、種類があるといわれると、角度やら丸みのかたちなど確かに種類分けできるのかもしれません。

しかし一方、種類があると提示しながらも「種類があると思う日」と「思わない日」という二種類の日が登場するのです。そしてその日の違いによって「命が変わる」というのは一体どういうことなのでしょうか。

何となくわかるようでいて、何となく理解しきれない部分のある歌です。自分の猫背のことをいっているのか、誰か他人の猫背のことをいっているのか、それもはっきりしませんが、「命が変わる」というのは、生き方、生きる姿勢みたいなものが変わるということなのではないでしょうか。

そしてその生きる姿勢というのは、背筋の角度で変わるのではなく、猫背に種類があると思うかどうかで変わるというところに、生きる姿勢に対する考え方のようなものが滲み出ているように感じます。

すんなりと全部納得できるような簡単な歌ではありませんが、猫背にも種類があるという把握に驚かされた一首です。