メール– tag –

〈メール無精を責めるメールをうつときの言語野に雪ああ降りしきる〉（柳澤美晴『一匙の海』）

〈君の名はモモイロフラミンゴぼくの名はメールのしっぽに書いておきます〉（杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』）

〈メールにも筆跡がある祖母からのメールはまるで柿の絵てがみ〉（田村穂隆『湖とファルセット』）

〈「今日は」という「今日は」だけが嘘であるメール送りつさびしい夜に〉（花山周子『屋上の人屋上の鳥』）

〈言葉の密度を恋ふる　未読メールひらく一瞬目をつむるなり〉（横山未来子『水をひらく手』）

〈文字化けのメール開けば溢れ出る涙の訳を教えてほしい〉（岡本真帆『水上バス浅草行き』）

〈つぎつぎとフォルダに来る spam mail さむい鷗の群れかも知れず〉（魚村晋太郎『花柄』）

〈きみからのメールを待っているあいだ送信メール読み返したり〉（萩原慎一郎『滑走路』）

〈明けがたに届く迷惑メールから漏れる光で今日がはじまる〉（虫武一俊『羽虫群』）

〈ひとりみた夕焼けきれいすぎたから今日はメールを見ないで眠る〉（小島なお『乱反射』）

〈君からのメールは君の声で読む　明日は天気になりますように〉（木下侑介『君が走っていったんだろう』）

〈全角で数字を打つと決めているひとのメールはすこし優しい〉（笹川諒『水の聖歌隊』）