メールの歌 #18

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メールの短歌

メールにも筆跡がある祖母からのメールはまるで柿の絵てがみ
田村穂隆『湖とファルセット』

田村穂隆の第一歌集うみとファルセット(2022年)に収められた一首です。

「絵てがみ」というと、手書きの味わいのある手紙という印象があります。

最近は、パソコンで簡単にオシャレなハガキや手紙をつくることができるようになりました。用途に合わせたテンプレートがあらかじめ用意されていて、それを選ぶだけで簡単に作成できます。追加でワンポイント画像を添えれば、自分オリジナルのハガキや手紙の完成です。これが、オンライン上で無料でつくることができる機能もあるくらいです。随分と便利になったものです。

しかし、「絵てがみ」となると話は違います。パソコンの文書作成ソフトで打って印刷したものではありません。パソコンやオンラインで電子的に作成したものは、やはり手書きの「絵てがみ」と別物であると認識した方がいいでしょう。「絵てがみ」のよさは、一枚いちまい手で書かれたところにあり、また絵が添えられているところに、味わい深さとありがたみが宿る点にあると思います。

掲出歌は、祖母から送られてきたメールの歌であり、「絵てがみ」そのものの歌ではありません。ただし、メールを喩える際に「柿の絵てがみ」が登場します。

まず「メールにも筆跡がある」と詠い始められています。メールといえば、パソコンやスマートフォンで打つため、基本的には誰が打っても同じ字形になるはずです。もちろんフォントの選択によっては、手書き風のフォントというものはあると思いますが、あくまで手書き風であり、手書きとは一線を画します。

そもそも「筆跡」という言葉自体が、”筆記用具を用いて人の手によって直接書かれた文字”を指す言葉ですから、筆記用具を用いないメールとは相容れないものですが、「メールにも筆跡がある」といい切ったところにこの歌の手柄があるように思います。

メールという電子的な伝達手段の中に、「柿の絵てがみ」のような味わいを感じとる感性が豊かであり、「筆跡」という言葉をもって表現したところが魅力的に映ります。

メール一通をとっても、それを単に現代の機械的な伝達手段として捉えるのか、それとも「絵てがみ」のような思いのこもった一通と捉えるのか。捉え方は受け手側に委ねられますが、どう捉えればより豊かに心が満足するのかといった点までも考えさせられる一首なのではないかと感じます。

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