補色の歌 #2

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補色の短歌

くさむらの水引草の赤い実がはじけようともさびしい秋は
土岐友浩『Bootleg』

土岐友浩の第一歌集Bootleg(2015年)に収められた一首です。

水引草はタデ科の植物で、紅白に見える花序が水引に似ていることからその名がつけられました。

薄暗い場所で見られることも多いのですが、掲出歌では「水引草の赤い実」の鮮やかさを際立っています。その理由として初句に置かれた「くさむら」の効果があるでしょう。

この初句があることで「くさむら」の中に咲いている水引草が一層目立つ仕掛けになっています。くさむらの緑と、水引草の実の赤が対比され、その対比が色彩的な効果を生み、赤い実に焦点が当たっていくのです。

そのような鮮やかさを伴った実と秋のさびしさとが引き合わされています。水引草の赤い実がはじけるとしても、秋はさびしいと詠われているのです。

このさびしさは秋そのもののさびしさに加え、それ以外の個人的事情によってさびしいものとなっているのかもしれません。そしてそのさびしさは、くさむらの中に咲く水引草の孤独な様をも思わせて、より一層その赤色が浮かび上がってくる一首になっています。

水引草
水引草

補色とは?

色相環で正反対に位置する関係の色の組合せのことで、余色、対照色、反対色などとも呼ばれます。例えば、赤と緑、黄と紫、橙と青など。補色の効果として、互いの色を引き立て合う相乗効果があります。

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