【短歌×人生】人生を1mmでもよくしたい 【関係⑤】ありがとうを伝える

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【短歌×人生】人生を1mmでもよくしたい 【関係⑤】ありがとうを伝える
tankalife

人生を1mmでもよくしたい」の第26回(「関係」の第5回)です。今回は「ありがとうを伝える」と題して、ありがとうや感謝について見ていきます。

日々、誰かや何かに対して「ありがとう」を伝えていますか。

自戒を込めていうのですが、ありがとうと伝えようと思いながら、ついつい心の中だけで済ませてしまい、口に出して「ありがとう」という機会を逃してしまっていることも少なくありません。

でも、できるだけ、色々なことに感謝するように意識はしています。例えば、すぐできるのは次のようなことです。

  • 空が晴れていることに感謝する。
  • 太陽があたたかく照ってくれることに感謝する。
  • 自然に感謝する。
  • 道を譲ってくれたことに感謝する。
  • エレベーターでお先にどうぞといわれて感謝する。
  • 手伝ってくれたり、助けてくれたりしたときに「ありがとうございます」をいう。
  • 道を歩きながら、今自分が存在できている状態に「ありがとうございます」と繰り返しいう。
  • 神社参拝では、神様にお願いするよりも、「いつもありがとうございます」と感謝を伝える。

「ありがとう」は、よく「魔法の言葉」といわれます。それは、自分にも相手にも幸福感をもたらしてくれるからです。

科学的にも色々と研究はされているようですが、そのような科学的なことを置いておいたとしても、「ありがとう」といわれれば単純にうれしいですし、「ありがとう」を伝えた場合も、伝えてよかったなと思うのではないでしょうか。

「ありがとう」のひとことで、自分も相手も幸せになれるなんて、いいことずくめですね。

ですから、ありがとうを伝えたり、あらゆるものに感謝したりすることは、人生を1mmでもよくするにはとても向いていると思いますし、今すぐにでも始められることなのです。お金もかかりませんし、大掛かりな機材や準備も必要ありません。でも、その効果は絶大でしょう。

「ありがとう」をいうことは誰も損しませんし、いわれて嫌な気分になる人はほとんどいないでしょう。それどころか誰もがいい気分になると思うのですが、なかなか言葉として出てこないことがあると思います。

例えば、狭い道ですれ違う場面を考えてみましょう。相手の人が通りやすいように脇に避けて待っていてくれる場合、その相手に何といいますか。このとき、大抵二つのパターンに分かれると思います。それは「すみません」という人と「ありがとう」という人です。

相手が待っていてくれたことに対して、「すみません」という人は申し訳ないという気持ちが強いのかもしれません。一方、「ありがとう」という人は感謝の気持ちにあふれているでしょう。

いわれた相手はどう思うでしょう。もし自分が道を譲る側の立場だったとして、「すみません」といわれたときと「ありがとう」といわれたときとどちらがいいでしょうか。「すみません」といわれたとき、相手に対して「そんなに申し訳なく思わなくても大丈夫ですよ」という気持ちになりませんか。一方、「ありがとう」といわれた場合は、素直にその「ありがとう」をありがたく受け取るのではないでしょうか。譲ってあげてよかったなとなるでしょう。

とっさに「すみません」が口をついてしまうこともあるかもしれませんが、常に感謝の気持ち、ありがとうの気持ちをもっていれば、自然と「ありがとう」が口から出るように変わっていくと思います。

それでは、ありがとうや感謝を詠った短歌を見ていきながら、ありがとうや感謝についてもう少し考えてみたいと思います。

急にきたキャッチボールではいじゃなくありがとうを投げれば良かったな 宇野なずき『しかし世界はあなたではない』

キャッチボールと詠われていますが、ボールを投げ合うキャッチボールが「急に」くることはあるのでしょうか。キャッチボールはお互いにボールを投げ合う準備をしてから開始するイメージがあります。

したがって、「急にきた」とあるので、この歌でいう「キャッチボール」は実際にボールを投げ合うキャッチボールというよりも、お互いに関わるコミュニケーションを喩えたものと捉えておきたいと思います。

相手から、急に何か尋ねられたり、お願いされたり、お礼をいわれたり、褒められたり、どこかに誘われたり、そのような場面を想像します。

そのとき、とっさのことだったのでつい「はい」と返答してしまったのではないでしょうか。「はい」と答えた後に、「ありがとう」といえばよかったなと気づいたのだと思います。もちろん、あのときああしていれば、ああ答えていれば、ということは終わった後だから気づけるという部分はあると思いますが、このときも「ありがとうを投げれば良かったな」を感じずにはいられなかったのでしょう。

「はい」は言葉のうえでもそうですが、態度も「はい」の態度になってしまうのではないでしょうか。もちろん「はい」は肯定的な返答ですから、何も相手を否定したり断ったりしているわけではありません。しかし、「はい」だと、少し真面目というか、杓子定規というか、形式的というか、そのような印象がなくもなく、表面的な受け答えとして相手には映ったのではないかと主体は考えたのかもしれません。

ただ「はい」と返すよりも、「ありがとう」を返した方が、相手はプラスに感じてくれた可能性もあります。「ありがとう」と返すことで、相手との距離が今までよりも縮まったかもしれません。

でも、普段から「ありがとう」をいい慣れていないと、とっさの返答に「ありがとう」がすっと出てこないのですね。いつも「ありがとう」という癖をつけておくと、「急にきたキャッチボール」にも「ありがとう」で対応できるのかもしれません。

「ありがとう」はいわれた方も気持ちがいいものですが、いった方も気持ちがいいものです。お互いがプラスになる「ありがとう」をもっともっといえるようになりたいと感じさせてくれる一首です。

ビル街に日がな一日雪が舞い ねぇママ、生まれてくれてありがとう カン・ハンナ『まだまだです』

ビル街に雪が舞っている日で、寒い一日なのでしょう。

「ねぇママ」と問いかけていますが、実際目の前に「ママ」がいるかいないかはわかりません。直接問いかけているように思いますが、雪が舞う一日に遠くにいる「ママ」の存在を思い浮かべている場面ともとれるでしょう。

ママが目の前にいるかいないかは明確ではありませんが、意識がママに向かっていることだけは確かです。

さて、ここでママに向かって伝えていることは、「産んでくれてありがとう」ではなく、「生まれてくれてありがとう」となっています。

ママが自分を産んでくれたから、自分が存在するわけで、今自分が存在していることに感謝するのであれば、「ねぇママ、産んでくれてありがとう」といっても何ら不思議はありません。しかし、ここでは「ねぇママ、生まれてくれてありがとう」と詠われているのです。

これは、ママがこの世に誕生してくれたことに対する感謝を表しているでしょう。つまり、ママがこの世に誕生したからこそ、自分がこの世にいるという気持ちがあるのだと思います。ママが自分を産む産まない以前に、ママがこの世に存在していなければ、当然自分の存在もないわけです。ですから、ママが自分を産む産まないよりも前に、ママが存在するしないの方が先にあるのです。

ここから感じられるのは、ママと自分との関係だけではなく、ママの親、その親の親、そのまた親の親というように遡っていく先々に現れる祖先をも含めた多くの人々に対しての感謝ではないでしょうか。

もちろん直接的にはママが生まれたことがまずあって、その後の経緯を経て自分が存在するのです。でも、そのママが生まれるためには、ママの両親が出会う必要があるでしょう。ママの両親も、偶然結ばれた存在同士かもしれません。ママの両親のそれぞれの両親も同様に出会う必要があったでしょう。この樹形図のような関係性のリンクを考えていくと、自分が今ここにいることが奇跡に思えてくるのではないでしょうか。あらゆる可能性から選ばれた関係が、今の自分を存在させてくれているのです。

ビル街に舞う無数の雪は、今の自分をここに存在させてくれた数多くの祖先の人々をも想像させてくれるのではないでしょうか。ママの誕生を心から感謝できることは、本当に素晴らしいと感じます。

わたしを変えてくれる夢や酸素を 生まれてくれてサンキュ 好きになった 初谷むい『わたしの嫌いな桃源郷』

「生まれてくれてサンキュ」とあり、こちらも誕生に対する感謝が詠われている一首です。

「生まれてくれてサンキュ」の対象は誰でしょうか。はっきりと書かれていませんが、大切な相手に対する感謝なのではないかと想像します。その相手が生まれなければ、主体と出会うこともなかったわけですし、まずは相手がこの世界に誕生したということが、感謝すべき起点ということなのかもしれません。

「サンキュ」は相手に対しての感謝が一番にあると思いますが、それと同時に「わたしを変えてくれる夢や酸素」に対する感謝でもあると思います。

生きていくうえで「夢」があるのは大切なことですし、「夢」があるから現状のつらいことも頑張って乗り越えていけるということもあるでしょう。また「酸素」がないと呼吸ができません。そう考えると「酸素」は、ここに存在するだけでとてもありがたいものなのです。自分を生かしてくれる大切な要素なのです。

「夢」や「酸素」に感謝できる心って本当に素晴らしいと感じます。

「夢」はかたちのないものです。「夢」をもつことは素敵なことですし、叶えばうれしいですが、自分の思い通りにならなかったときには恨みの対象になりやすいものです。でも、そんな「夢」を信じて、「夢」はいいものだと思うことができるかどうか、たとえ夢破れても感謝できるかどうかが重要なのかもしれません。

また「酸素」は目に見えませんし、あまりにも存在感なく存在しているため、普段生活している中で意識することはほとんどないと思います。見過ごしてしまいやすいものですが、あって当たり前と思われるものに対して感謝できるかどうかで人生の充実度は変わってくると思います。

「サンキュ」という気軽ないい方がまたいいですね。相手や対象との親密度合を感じさせてくれます。そのような諸々の感謝を伴った「好きになった」は、本当に本心なのだと感じずにはいられません。

全人類にチューしたらきっと好きになるあのクソ上司にもジャンプしてチュー 菊竹胡乃美『心は胸のふくらみの中』

「ありがとう」の言葉は直接詠われていませんが、感謝することの大切さを感じる一首です。

「全人類にチューしたら」とありますが、現実問題として全人類にチューすることはおそらく不可能でしょう。ですから、これはあくまで仮定の話です。

つまり、「全人類」をこの世界に住む全員と捉えるのであれば、全人類は何十億というという数ですから、物理的に全員とチューすることはできないでしょう。しかも、本来「チュー」は好きな人とするものという前提があるでしょう。好きな人とは何度でもチューできますが、嫌いな人と果たしてチューできるのでしょうか。

当然全人類の中には、好きな人もいれば嫌いな人も大勢いるでしょう。嫌いな人にチューするのは結構ハードルが高いように思います。しかし、この歌では、「全人類にチューしたらきっと好きになる」と詠われています。

ここから読み取れるのは、嫌いな人に対してはチューするまでのハードルは高いのですが、一旦チューしてしまえば、嫌いと思っていた人のことも好きになる、いや好きまでいかなくても嫌いではなくなるのではないかということではないでしょうか。つまり、チューという行為が先にあって、嫌いという感情がなくなるという順番です。

そして、下句で登場するのが「クソ上司」です。

「クソ上司」ですから、主体はこの上司を軽蔑し、心底嫌っているのでしょう。同じ職場でなければ、あるいは同じ部署でなければ、一切関わりたくない人物かもしれません。でも、上司ですから、日々の仕事において無視するわけにもいきません。上司のことを嫌だ嫌だと避けていても、「上司が嫌」という状況がずっと続くだけでおそらく改善されることはないでしょう。

そこで現れる飛び道具が「クソ上司にもジャンプしてチュー」なのです。

避けても逃げても駄目なら、もういっそのこと思いっきり飛び込んでしまえというわけですね。しかし、この行動を実行に移すのはかなり勇気がいるでしょう。

でも、こうも思います。「クソ上司」に「ジャンプしてチュー」したら、「クソ上司」はただの「上司」に変わるのではないかと。

通常、好意や感謝の気持ちがあるからチューするのが流れとしては自然な気がします。しかし、チューしてから相手に好意や感謝を抱くという流れがあってもいいのです。「全人類にチューしたらきっと好きになる」はまさにこのことをいっているのだと思います。

だから、クソ上司であっても、チューしたら、しかもジャンプしてチューしたら、きっとこの感情も変わるはずと考えているのではないでしょうか。

好意や感謝の伝え方としてはトリッキーかもしれませんが、そこから本当の感謝につながることがきっとあると思います。

さて、改めて、自分の日々の生活を振り返って、ありがとうや感謝を伝えているかなあと問いかけ直すことがあります。ついつい、当たり前でやり過ごしていることはないでしょうか。あって当たり前、やってくれて当たり前、いわなくても当たり前…。

「ありがとう」を伝えることは、簡単なようで難しい面もあるでしょう。とっさの判断で「ありがとう」を返せるかどうかも、気持ちのもち方や慣れによる部分もあるでしょう。

冒頭でも触れましたが、「ありがとう」は本当にプラスの効果しかないと感じています。感謝の気持ちをもつ、ありがとうを伝える、たったそれだけで人間関係も人生もうまくいくのであれば、これを使わない手はありません。

感謝をすれば、ありがとうを伝えれば、相手も自分も気分がよくなると思います。

わずかずつでもいいので、日常にありがとうや感謝を増やしていってはいかがでしょうか。

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