問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈バゲットの長いふくろに描かれし【 ① 】を真っ直ぐに抱く〉 (杉﨑恒夫)
A. 天の梯子
B. 細い裸身
C. バゲットの絵
D. エッフェル塔
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解答 – Answer
D. エッフェル塔
解説
バゲットの長いふくろに描かれしエッフェル塔を真っ直ぐに抱く
掲出歌は、杉﨑恒夫の第二歌集『パン屋のパンセ』の連作「春の信管」に収められた一首です。
フランスパンの代表格であるバゲットは、フランス語で「杖」を意味します。長さに特徴があるパンですが、大抵は細長い袋に入れて持ち帰ることになるでしょう。
掲出歌に登場する袋には「エッフェル塔」が描かれているというのです。
細長い袋だからこそ、エッフェル塔の絵が生きてきます。バゲットを抱えて持ち帰るとき、抱えているのは「バゲット」ですが、その袋に描かれた「エッフェル塔」を抱いていると詠ったところにこの歌の魅力があるでしょう。
しかも「真っ直ぐに抱く」のです。この表現に、バゲットの真っ直ぐさ、そしてエッフェル塔の真っ直ぐさが重ね合わせられます。
袋が無地であるよりも、エッフェル塔が描かれている方が、同じバゲットでもまるで違うバゲットに見えてきます。バゲットを持ち帰る場面ひとつでも、このように明るく楽しくそして素敵な一首が生まれることをこの歌は教えてくれていると感じます。