傘の歌 #16

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傘の短歌

傘を買うのは恥ずかしい 片思いしているような恥ずかしさなり
染野太朗『あの日の海』

染野太朗の第一歌集あの日の海(2011年)に収められた一首です。

傘は日常生活を送るうえで必要な物であり、傘を買うのを恥ずかしいと思う人はそんなに多くはないのではないでしょうか。

しかし主体は「傘を買うのは恥ずかしい」と感じているのです。どのような恥ずかしさかといえば「片思いしているような恥ずかしさ」というのです。

またここで読み手は立ち止まることでしょう。片思いしているのは恥ずかしいのかどうか、ということです。

しかし主体にとっては、相手に思いを伝えずにいる片思いは恥ずかしいという認識なのでしょう。また周りの友人たちにも片思いをしていること伝えていない場合もあると思いますが、いずれにしても思いを表に出していないところに恥ずかしさを感じているということでしょうか。

傘を買う恥ずかしさと、片思いの恥ずかしさ、これらが近しいものかどうかは、論理的には説明が難しいところがあるでしょう。しかしこの歌では、傘を買うのが恥ずかしいと思っていますし、それは片思いしているような恥ずかしさだと感じている主体がいることは間違いありません。

ここで詠われている恥ずかしさへ共感できるかどうかは読み手に委ねられそうですが、ふたつの恥ずかしさが結びつけられたところにこの歌の魅力があり、読み手は新たな視点を獲得することになるのではないでしょうか。

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