傘の歌 #11

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傘の短歌

不意打ちの雨も必ず上がるから島の娘は傘を持たない
松村由利子『耳ふたひら』

松村由利子の第四歌集耳ふたひら(2015年)に収められた一首です。

急な雨に見舞われた場合、手持ちの傘があれば、その傘を差すのが一般的かもしれません。また朝に天気予報を見て、今日は雨が降りそうだなと思えば、傘をもっていく人も多いのではないでしょうか。朝の通勤電車においても、雨の予報の日は雨傘を携帯している人が多いことに気づきます。

あるいは、いつ雨に降られてもいいように、折り畳み傘を鞄に入れておくのもひとつの手です。最近では、値段は張りますが、頑丈だけどコンパクトに畳める、良質の折り畳み傘も色々と売られており、こういう折り畳み傘を一本もっておくだけで、突然の雨に対する備えも随分変わってくると思います。

さて、掲出歌は、都市とは離れた「島」での話です。ここでいう「島」は、沖縄の石垣島を差しています。作者は2010年(平成22年)から石垣島に移り住みました。

詠われている石垣島の雨は、しつこくない様子がうかがえます。「不意打ちの雨」とは、スコールのようなものでしょうか。夕立ちのような雨でしょうか。

「不意打ちの雨」は「必ず上がる」のです。必ず上がると知っているから、「島の娘」たちはそのようなときにも、傘をもたずに生活しているということでしょう。

雨に濡れても構わない、あるいはどこかで少し雨宿りしてもいい、とにかく傘をもつ必要なんてないといった、潔さが感じられます。

先ほど触れた都市の雨とは、やはり異なるのでしょう。そうなれば、雨への対処の仕方も当然変わってきます。突然の雨に対しては、良質の折り畳み傘を常備しておくといいのではないかと述べましたが、これはあくまで都市部で生活したり、一度降り出したら中々雨がやまない地域で生活する場合に有効な手段です。必ずしも「島」の雨に対して有効とは限りません。

「島」の「不意打ちの雨」に対しては、折り畳み傘もきっと必要ないのでしょう。必ず上がる雨に対して、傘が果たす役割は一体どこにあるのでしょうか。雨には傘、と当たり前のように、何の疑いもなく過ごしてきた者にとって、「傘を持たない」習慣は、驚きに映るかもしれません。

この歌は、作者がこれまで見てきた場所とは少し異なる生活習慣に気づいたという小さな発見の歌でもあります。

雨が降ったときは傘を差さなければならないという固定観念を振り払ってくれる一首で、伸びやかさを感じる歌だと思います。

雨上がりの空
雨上がりの空

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