life– tag –

〈今日という日もまた栞　読みさしの人生という書物にすれば〉（萩原慎一郎『滑走路』）

〈ねばならない、ねばならないと唱えながら歩くのはもうやめると決めつ〉（中沢直人『極圏の光』）

〈誰ひとりきみの代わりはいないけど上位互換が出回っている〉（宇野なずき『最初からやり直してください』）

〈一日が過ぎれば一日減つてゆくきみとの時間　もうすぐ夏至だ〉（永田和宏『夏・二〇一〇』）

〈ふざけあう言葉のひとつひとつから明日の生まれることがいとしい〉（田中ましろ『かたすみさがし』）

〈青春をかけて作りし筋肉でトイレの水を運ぶ人生〉（矢部雅之『友達ニ出会フノハ良イ事』）

〈けふよりあすへ疲労はほそき橋として架かる　その橋を渡りはじめつ〉（鈴木加成太『うすがみの銀河』）

〈雨はふる、降りながら降る　生きながら生きるやりかたを教へてください〉（藪内亮輔『海蛇と珊瑚』）

〈ショートケーキを箸もて食し生誕というささやかなエラーを祝う〉（内山晶太『窓、その他』）

〈僕に見えるこの僕みたいな人生をあなたなら続けられたんですか〉（平出奔『了解』）

〈両親が両脇に居てくれることこんなにも親不孝な幸〉（笹本碧『ここはたしかに 完全版』）

〈「時間」にはこまごま記憶がたたまれてどのひとつにも悔いが添ふなり〉（池田はるみ『亀さんゐない』）