人生– tag –

〈われら明日はなに見るならむひたひたと「時」の渚を波打ちつづく〉（雨宮雅子『昼顔の譜』）

〈満月が「たとえ一分一秒も他人のためには使うな」と言う〉（谷村はるか『ドームの骨の隙間の空に』）

〈約束をしないつもりで生きてきたでもあの人とは約束したい〉（九螺ささら『ゆめのほとり鳥』）

〈人生を笑い飛ばして去っていく……わけにもいかず草抜いている〉（大下一真『即今』）

〈深夜ラジオの天気予報を聴きをれば今日はたしかに昨日のつづき〉（小川真理子『母音梯形』）

〈散らかしたまま書いている人生に誤字も脱字もそのままにある〉（小川佳世子『水が見ていた』）

〈迷いたるわれの耳へと風の吹く正しいことを選ぶのではない〉（江戸雪『駒鳥』）

〈長生きができたらいいな　ひまわりの黄は漆黒にあんがい似てるね〉（早坂類『風の吹く日にベランダにいる』）

〈勝ち負けを決めないことも負けかもと思う　あなたの下着を吊るす〉（岡崎裕美子『わたくしが樹木であれば』）

〈三十分ゴルフの話ばかりして三十分減るおれの人生〉（ユキノ進『冒険者たち』）

〈おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃって生きてたらはちゃめちゃに光ってる夏の海〉（青松輝『4』）

〈生くるとは慣れぬことがらに出会ふこと熟していくこと羊雲みあぐ〉（秋山佐和子『豊旗雲』）