従業員食堂の醬油ラーメンは毛玉のようなネギをし乗せて
染野太朗『あの日の海』
染野太朗の第一歌集『あの日の海』(2011年)に収められた一首です。
ラーメンを提供してくれる場所はさまざまです。ラーメン専門店、レストラン、中華料理屋、食堂、フードコート、家など。
掲出歌は従業員食堂で注文した醬油ラーメンについて詠われています。
ラーメンには大抵ネギが乗っていますが、この歌に登場するネギは「毛玉のような」ネギなのです。うまく切りきれていないのか、塊になったネギを想像します。塊になったネギはあまりおいしくないでしょうし、食べ物を形容するのに不釣り合いな「毛玉」という言葉自体が、そもそもおいしくない様子を表しているでしょう。
さまざまなメニューを提供する従業員食堂に、ラーメン専門店のような味やクオリティを求めても仕方ないかもしれませんが、ネギくらいはもう少し丁寧に切って盛り付けてほしい気もします。
「ネギをし乗せて」の「し」は強調の意味合いでしょうが、この「し」が思いのほか効いており、「毛玉のようなネギ」に対する主体の残念なような諦念のような感情をより強く感じます。