問題 – Question
〈あをき血を透かせる雨後の葉のごとく鮮しく見る半袖のきみ〉という巻頭歌で始まる、横山未来子の第一歌集は何?
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解答 – Answer
『樹下のひとりの眠りのために』
解説
『樹下のひとりの眠りのために』は1998年に出版された、横山未来子の第一歌集です。22歳から26歳までの作品を収録し、1996年の第39回短歌研究新人賞受賞作「啓かるる夏」も収められています。
心を寄せる「きみ」への思いが、水や光とともに瑞々しく描かれている歌が印象に残ります。横山未来子の歌の特徴として、文語旧かなの端正さとともに、読み上げたときの韻律の心地よさが挙げられるでしょう。
また巻頭歌〈あをき血を透かせる雨後の葉のごとく鮮しく見る半袖のきみ〉のような比喩の巧みさも随所に見られ、どの歌をとっても一首の完成度の高さを感じることができます。
『樹下のひとりの眠りのために』から五首
ボート漕ぎ緊れる君の半身をさらさらと這ふ葉影こまかし
胸もとに水の反照うけて立つきみの四囲より啓かるる夏
ほほゑみてのちに涼しき眼となれる人とわれとを容るる片蔭
夕光の綾目なしたる湖の面をみづ鳥はなめらかに移れり
わが右の鼓膜を圧して一瞬の風はするどく森をよぎりつ