問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈黒板にもたれて藤の花を見し少年の吾に異性とは【 ① 】〉 (吉川宏志)
A. 雨
B. 影
C. 霧
D. 春
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次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈黒板にもたれて藤の花を見し少年の吾に異性とは【 ① 】〉 (吉川宏志)
A. 雨
B. 影
C. 霧
D. 春
C. 霧
黒板にもたれて藤の花を見し少年の吾に異性とは霧
掲出歌は、吉川宏志の第一歌集『青蟬』の連作「鍵をした窓」に収められた一首です。
比喩に定評のある著者ならではの鮮やかさが現れた歌で、「少年の吾」にとって異性の存在の捉えがたい様子が「霧」という一語で表現されています。
「黒板にもたれて」いる状況が歌に奥行きをもたらしており、この少年吾の悶々としたような、やるせないような思いが滲み出ています。
通常「霧」は秋と結びつきがよく、藤の花咲く春は「霞」と組み合わされるのが通例ですが、この歌についていえば「霧」というきっぱりと言い切った語感が重要であり、「霞」という語感ではこの歌自体が霞んでしまいます。歌を支えるのは言葉の意味だけではなく、音の面が非常に大切であることも教えてくれる一首です。