問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈渡るときやたら眩しい橋だつた【 ① 】のやうに人を立たせて〉 (石川美南)
A. やらせ
B. ひるね
C. あのよ
D. まわた
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解答 – Answer
A. やらせ
解説
渡るときやたら眩しい橋だつたやらせのやうに人を立たせて
掲出歌は、石川美南の第四歌集『架空線』の一連「雲の中、雲の下」に収められた一首です。
「渡るときやたら眩しい橋」はとても美しい光景です。太陽の日差しを浴びて、きらきらと輝いているのでしょうか。
まぶしすぎて、実際の光景というよりも、どこか実際の光景ではない様子を帯びてくるような場面が浮かびます。
さて、「やらせのやうに人を立たせて」という下句が面白く感じます。
橋には何人かあるいは大勢人が立っていたのでしょう。それを「やらせのやうに」感じるところに視線の鋭さが表れているでしょう。
橋の上に立っている人たちは、まさか自分たちがやらせで立たされているとは一切思っていませんが、その光景を見ている主体が「やらせ」と感じたところにギャップが生じ、そのギャップがおかしみを生んでいるのではないかと思います。
表記上「やたら」「やらせ」「やうに」といった「や」から始まる三文字の語が三つ並ぶことで、視覚的にも工夫された一首だと感じます。