問題 – Question
〈こころとは脳の内部にあるという倫理の先生の目の奥の空〉という巻頭歌で始まる、小島なおの第一歌集は何?
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解答 – Answer
『乱反射』
解説
『乱反射』は2007年(平成19年)に出版された、小島なおの第一歌集です。著者17歳から20歳までの作品274首が収録されています。2004年(平成16年)に第50回角川短歌賞を受賞した作品「乱反射」も収められ、歌集名にもなっています。
歌集名からも想像できるように、春、光、空といった輝かしい言葉とイメージが全体を通して感じられます。しかし十代のあふれるような肯定感がある一方で、同時にその背後にはわずかながらの、あるいはそれ以上の否定感を感じさせる歌に満ちています。
そこに、本歌集の歌々がただ単にまっすぐなベクトルだけではない、陰翳をもった厚さを伴っていることを思います。
本歌集は、2023年(令和5年)書肆侃侃房の現代短歌クラシックスとして新装版が刊行されました。
2008年(平成20年)、本歌集にて第10回駿河梅花文学賞、第8回現代短歌新人賞を受賞。
『乱反射』から五首
牛乳のあふれるような春の日に天に吸われる桜のおしべ
ダリの眼に映る天地は狂気なり世界は澄みて「聖アントワーヌの誘惑」
かたつむりとつぶやくときのやさしさは腋下にかすか汗滲むごとし
噴水に乱反射する光あり性愛をまだ知らないわたし
われもまた膝にちいさな泉あり膝で感じる夜の水深
ポチップ