問題 – Question
〈旅客機の窓はきらめくそれぞれのパーパス・オブ・ユア・ヴィジットをのせ〉という巻頭歌で始まる、水野葵以の第一歌集は何?
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解答 – Answer
『ショート・ショート・ヘアー』
解説
『ショート・ショート・ヘアー』は2022年(令和4年)に出版された、水野葵以の第一歌集です。
本歌集に収録された歌には、固有名詞や英語のワードがいくつか詠み込まれていますが、それらの言葉を短歌にさりげなく取り入れるのが巧いと感じます。
例えば巻頭歌ですが「パーパス・オブ・ユア・ヴィジット」という入国審査で使われる長いワードであっても、一首の中で浮き立たずに収まっています。
本歌集で特に惹かれたのは、家族をはじめ他者を詠った歌です。そして、他者を通して自分を見つめていますが、そこにはちょうどよい力の抜け具合といいますか、なるようになるといいますか、人生に対して気負いすぎていないところを感じます。
人生において、嫌になることもつらいこともあると思いますが、そのような中でもどこか肯定的な面を見つけようとしているところが歌に表れているように思います。
「怒」「哀」があったとしても、その一方で「喜」「楽」があり、その幅が本歌集の豊かさにつながっているのではないでしょうか。
『ショート・ショート・ヘアー』から五首
君の背にロールシャッハが咲いていてそれでも好きと思えたら夏
日々のバカ 開きっぱなしの踏切でほとぼりが過ぎ去るのを待って
おはようがまだかまだかと待っている明日の僕にすべて任せる
サササドリと母が呼んでる鳥がいてたぶんこれだな、サササと走る
僕のこと自慢に思う人がいて夜道がすごくすごく明るい