問題 – Question
〈積み石のごとき書類の極よりだんだんだんだんだんと空調〉という巻頭歌で始まる、堀合昇平の第一歌集は何?
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解答 – Answer
『提案前夜』
解説
『提案前夜』は2013年(平成25年)に出版された、堀合昇平の第一歌集です。2008年(平成20年)から2013年(平成25年)までの作品317首が収録されています。
著者は、コンピュータメーカーの営業という立場から、仕事に関する歌が多く詠まれています。コンピュータに関する用語も頻出し、非常に具体的な場面が詠み込まれているのが印象的です。
その場面は残業も多いようであり、決して楽しいといえるものではなく、どちらかといえば仕方なくその業務に向き合わざるを得ないといった思いを感じます。しかし必ずしもいいことばかりではないという点が、作歌においては効果的に働き、業務上の負の面が短歌においては味わいを深くしているのではないでしょうか。
本歌集には家族の歌も詠まれていますが、それらの歌も仕事との関わり、仕事へ裂く時間とは切り離せないかたちで詠われています。
やはり本歌集は、営業という前線での緊張感を伴った仕事を通して生まれてくる歌にもっとも魅力を感じることができる一冊です。
『提案前夜』から五首
搬入用エレベーターに物よりも人多くありもの言わず在り
全身が痺れるような提案のキラーフレーズ浮かばぬ夜は
たましいのごとき一枚ひきぬけば穴暗くありティッシュの箱に
俺は別に英語が得意なわけではなくしかし「アグリーです」と答えた
配管のうねりを闇にみるばかりみな吊革に腕を垂らして