問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈水そそぐところに朱き鯉いくつ形【 ① 】鎮まりてゐる〉 (佐藤佐太郎)
A. あかるく
B. ちひさく
C. とどめず
D. やさしく
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解答 – Answer
A. あかるく
解説
水そそぐところに朱き鯉いくつ形あかるく鎮まりてゐる
掲出歌は、佐藤佐太郎の第九歌集『形影』の連作「鯉」に収められた一首です。
鯉を詠んだ歌ですが、視覚的に鮮やかなイメージが浮かぶ歌です。「朱き鯉」の鮮やかさはもちろん、その鯉が何匹か集まっているところを「形あかるく」と表現した点が、この一首の見どころではないでしょうか。
「形」の様子を表す言葉として、その形状を直接いう言葉を用いず、「あかるく」という言葉をもってくるところが大変魅力的です。この言葉により、光のイメージがそこに浮かんできます。光が現れることで、ますます鯉の様子がくきやかに際立ち、色彩そして明度のあふれる一首となっています。
「鎮まりてゐる」という結句となっていますが、静の状態のなかにも鯉の存在感・生命感がいつまでもそこに息づいているように感じます。
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