問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈銀河ぐらりと傾く霜夜【 ① 】の中に一個のしんじつがある〉 (小島ゆかり)
A. 満月
B. 十二指腸
C. うめぼし
D. くちびる
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解答 – Answer
C. うめぼし
解説
銀河ぐらりと傾く霜夜うめぼしの中に一個のしんじつがある
掲出歌は、小島ゆかりの第四歌集『獅子座流星群』の連作「大山椒魚」に収められた一首です。
「銀河ぐらりと傾く」とはどのような「霜夜」なのでしょうか。銀河が傾くというのはとても壮大な話ですが、主体にとっては銀河がぐらりと傾くように感じられたということでしょう。
一方、三句以下は「うめぼし」という小さなものに焦点が移っていきます。「うめぼしの中に一個」といわれると、梅干しの種を想起してしまいますが、ここでは結句で「しんじつがある」と展開していきます。
うめぼしの中に真実があると言い切られると、読み手は妙に納得させられてしまいます。それは銀河という果てしない存在と、うめぼしというとても身近で小さなものとの対比から生まれるものかもしれません。
このような発想で歌を詠むことはなかなか簡単にできることではありませんが、この一首は発想がとても愉快でありながら、決してナンセンスには陥っていないところが魅力的です。銀河、霜夜、うめぼし、しんじつ、これらの取り合わせがうまく機能し、一度読むと忘れない一首となっていて印象に残ります。