ノー・ウンチ、ノー・ライフ、ああ、この先の百年をウンチせよかし、おまへ
大松達知『ゆりかごのうた』
大松達知の第四歌集『ゆりかごのうた』(2014年)に収められた一首です。
「おまへ」とは自分の子どものことを指しており、この歌が収められた一連から年齢は一歳ということがわかります。
“No Music, No Life”はよく耳にする言葉ですが、「ノー・ウンチ、ノー・ライフ」は初めて聞きました。意味としては”ウンチなくして人生はない”といったところでしょうか。
そして「この先の百年をウンチせよかし」と続きます。「かし」は、強く念を押す意味で使われる古語で、「この先の百年をウンチせよ」という行為に強く念を押しています。
人は排泄をする生き物です。別に人に限りませんが、食べ物を食べて排泄をするということを死ぬまで繰り返していくわけで、食べること、そして排泄することが人生そのものといっていい側面はあるでしょう。
確かにその通りなのですが、この行為を改めて言葉にするということ、短歌にするということはあまりなされてこなかったのではないでしょうか。
幼い子どもはまだ自分でうまく排泄のコントロールができません。そのようなことを踏まえて、一歳の子に対する呼びかけとして、「ウンチせよ」はよくわかります。
「この先百年を」というところは、言い換えれば百歳まで生きてくれよという、子どもに対する願いも含まれているでしょう。百年間ウンチする、すなわち百歳まで生きよということを、この歌は伝えてくれるのではないでしょうか。
歌の入りは「ノー・ウンチ、ノー・ライフ」であり、ユーモアが感じられます。また「ああ」という感嘆の言葉、そして読点の効果的な配置、さらには「かし」という古語の挿入など、言葉の選択や表現の面においてもアクセントのある歌だと思います。
「ノー・ウンチ、ノー・ライフ」は一度聞けば忘れることのできないフレーズになりそうです。子に対する愛情、そしてこの先の未来に対する希望が感じられる歌で、とても印象に残る一首です。