人生の歌 #32

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人生の短歌

たった今明らかなことはただひとつこの二十年ほどを死んではならぬ
永田淳『1/125秒』

永田淳の第一歌集1/125秒(2008年)に収められた一首です。

もしも人生の時間がとても短いものだとすれば、人生という時間について人はあまり思いを巡らすことはないかもしれません。

ある程度の長さがあり、人生とはある面時間の積み重ねともいい換えることができるならば、だからこそ人生の時間について考えることがあるのではないでしょうか。

掲出歌は、生きていくことについて「二十年ほど」の時間を「死んではならぬ」と詠われています。

なぜ「二十年」なのか、なぜ「死んではならぬ」のか。その本当の理由ははっきりと書かれていませんが、主体の中で「明らかなこと」であることだけは間違いありません。

「明らかなこと」は誰かからいわれたわけではなく、また世の中の摂理として明らかというわけでもありません。自分自身の中に湧き起こる思いとして明らかであり、この歌からは「死んではならぬ」という強い意思を感じます。

その思いは「たった今」明らかになったわけですが、それは何のため、誰のためでしょうか。

「二十年ほどを死んではならぬ」のは、自分自身のためというよりも、他者の存在のためではないでしょうか。その他者とは身近な存在、たとえば家族のためではないでしょうか。子かもしれませんし、妻あるいは親かもしれません。また対象は一人ではないかもしれません。

そのような身近な他者を起点として、この歌で詠われている思いが表出されたのでしょう。

きっかけは一瞬の出来事だったのかもしれませんが、その一瞬に湧き起こった思いはこれから先長い間ずっと続いていくことになると思います。

非常に力強い表現が深く刺さり、印象に残る歌で、人生の短さと長さを感じさせてくれる一首です。

手
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