人生の歌 #13

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人生の短歌

幸福でありつづけなければならないとそもそこからが不幸の証し
林和清『去年マリエンバードで』

林和清の第四歌集去年マリエンバードで(2017年)に収められた一首です。

「幸福」と「不幸」。それぞれ意味するところや、思い描くイメージは人によって少し異なるでしょうが、一般的な意味でいうこの二つのうちどちらを求めるかといえば、おそらく「幸福」を人は求めるでしょう。

“幸せになりたい”といった言葉はよく目にしたり、耳にしたりします。それはごく自然な望みだと思います。

掲出歌は「幸福」と「不幸」の関係について迫った歌で、とても興味深い一首だと思います。

幸福を求めることは構わないですし、幸福であること、また幸福でありつづけることもすばらしいことでしょう。しかし「幸福でありつづけなければならない」と思い込んだとき、それは「不幸の証し」であると詠っています。

そもそも「幸福」というのは、何かの強制から逃れた、いわば自由な状態において成り立つものだと思いますが、「ありつづけなければならない」というのは強制が働いている状態です。

幸福でありつづけなければならないという思いは一切なく、結果として幸福がずっとつづいていたという場合と、幸福でありつづけなければならないと思い、幸福を必死に継続させようとする場合では、幸福の継続という点では同じでもまったく意味の異なるものとなるでしょう。

たとえ幸福であったとしても、幸福に対する考え方を一歩間違うと不幸につながるということをこの歌は教えてくれているように思います。

この歌を読むと、幸福とは何かを改めて考えてみるきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。

読むほどに考えさせられ、箴言のように刺さってくる一首です。

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