鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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チョコレートの歌 #16
〈ひとりってこうだったっけ夜の道チョコをちいさくちいさく割りぬ〉(笠木拓『はるかカーテンコールまで』) -
チョコレートの歌 #15
〈銃撃戦がとくに好きってわけじゃない土の匂いのチョコレート嚙む〉(平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』) -
人生の歌 #73
〈映画にはなれない今日が好きだった 卓にふくらみたるティーコジー〉(笠木拓『はるかカーテンコールまで』) -
人生の歌 #72
〈たましいを紙飛行機にして見せてその一度きりの加速を見せて〉(服部真里子『遠くの敵や硝子を』) -
傘の歌 #21
〈生まれた瞬間懐かしくなる歌のように駅の周りで傘は開いた〉(堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』) -
人生の歌 #71
〈ぼろぼろと剝がれて落ちてゆくものを育て続けた日もあったはず〉(安藤美保『水の粒子』) -
人生の歌 #70
〈手をふれてさびしいふたり何にでもなれる万能細胞のやうで〉(魚村晋太郎『バックヤード』) -
ラーメンの歌 #15
〈公平さの象徴として拉麵屋にならぶ列あり紺のゆふぐれ〉(魚村晋太郎『バックヤード』) -
人生の歌 #69
〈盛り上がり水くづれたり 老いながらまたあたらしく明日へ運ばる〉(横山未来子『水をひらく手』) -
人生の歌 #68
〈かみの毛をうかべたような雲がありここからはずっとチャンスなんだ〉(我妻俊樹『カメラは光ることをやめて触った』) -
メールの歌 #14
〈つぎつぎとフォルダに来る spam mail さむい鷗の群れかも知れず〉(魚村晋太郎『花柄』) -
空白の歌 #11
〈梔子とは違ふしろさの空白にカーソルの点滅を見てゐた〉(魚村晋太郎『花柄』)