鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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無数の歌 #24
〈ほのぐらき水族館に浮かびゐる無数の貌のなかのわが貌〉(小島ゆかり『憂春』) -
無数の歌 #23
〈海上にかろき頭痛を運びつつ無数の波の襞を見下ろす〉(大辻隆弘『汀暮抄』) -
人生の歌 #134
〈ちょっと良いポン酢を買えば良い帰路で春の宵など俯瞰しながら〉(小俵鱚太『レテ/移動祝祭日』) -
人生の歌 #133
〈したいことたくさんあるけどわたしって「したいね」「したいね」でいいみたい〉(伊藤紺『気がする朝』) -
人生の歌 #132
〈トーストを朝なさな置く丸皿を洗はず捨てるやうに生きたい〉(山木礼子『太陽の横』) -
人生の歌 #131
〈とは言えど走って走って走り抜く若さ眩しと思うときあり〉(三枝昻之『遅速あり』) -
人生の歌 #130
〈日曜のひとりぼっちは思いのほか幸せなんだ 歯磨きはしない〉(カン・ハンナ『まだまだです』) -
人生の歌 #129
〈いのりといふもろき柱に身を寄する死からながむる生短くて〉(森井マスミ『まるで世界の終りみたいな』) -
人生の歌 #128
〈自賛する言葉は卑しかりしかどそれにしも支へらるる生もありなむ〉(大辻隆弘『汀暮抄』) -
自動販売機の歌 #17
〈自販機へのぼる誰もがつま先をお釣りの穴にいったんいれて〉(伊舎堂仁『感電しかけた話』) -
補色の歌 #14
〈この世には赤いきつねはいそうだがいそうにもない緑のたぬき〉(松木秀『親切な郷愁』) -
エレベーターの歌 #7
〈エレベーターの一階ボタンくすんでる 僕らは羽を持たないゆえに〉(伊波真人『ナイトフライト』)