鑑賞– appreciation –
一首鑑賞、テーマ別短歌の紹介など、短歌一首一首を取り上げます。
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無数の歌 #26
〈かがやける花、花、花、野、黄金の家への道は無数にひとつ〉(早坂類『黄金の虎』) -
麻雀の歌 #12
〈先輩の家で麻雀した朝のだるい四人はロの字にねむる〉(小俵鱚太『レテ/移動祝祭日』) -
エレベーターの歌 #9
〈人あまた乗り合ふ夕べのエレヴェーター桝目の中の鬱の字ほどに〉(香川ヒサ『テクネー』) -
エレベーターの歌 #8
〈エレベーターの人数が奇数になって空に向かっていく晴れた日の朝〉(フラワーしげる『ビットとデシベル』) -
人生の歌 #135
〈ひとりなり。一夏の読点として階段にひいやりと座れば〉(駒田晶子『銀河の水』) -
無数の歌 #25
〈きみをなす無数の問いに眼をこらす素足にたまごのからふみしめて〉(柳澤美晴『一匙の海』) -
無数の歌 #24
〈ほのぐらき水族館に浮かびゐる無数の貌のなかのわが貌〉(小島ゆかり『憂春』) -
無数の歌 #23
〈海上にかろき頭痛を運びつつ無数の波の襞を見下ろす〉(大辻隆弘『汀暮抄』) -
人生の歌 #134
〈ちょっと良いポン酢を買えば良い帰路で春の宵など俯瞰しながら〉(小俵鱚太『レテ/移動祝祭日』) -
人生の歌 #133
〈したいことたくさんあるけどわたしって「したいね」「したいね」でいいみたい〉(伊藤紺『気がする朝』) -
人生の歌 #132
〈トーストを朝なさな置く丸皿を洗はず捨てるやうに生きたい〉(山木礼子『太陽の横』) -
人生の歌 #131
〈とは言えど走って走って走り抜く若さ眩しと思うときあり〉(三枝昻之『遅速あり』)