この人はLINEこの人とはメール 電話だと声がちょっと違うね
鈴木晴香『心がめあて』
鈴木晴香の第二歌集『心がめあて』(2021年)に収められた一首です。
今の時代、誰かと連絡を取るときの手段はさまざまあります。
口頭、郵便、電話、電子メール、LINE、SNSなど。電話もメールもなかった時代は電報や郵便が連絡を取る手段であったでしょうし、それらもない時代は直接会って話をするか、誰かに伝えてもらうという方法でコミュニケーションが図られていたでしょう。
現在はインターネットの普及により、色々なコミュニケーションツールが広まり、より早いコミュニケーションが可能となりました。
掲出歌はそんなコミュニケーションツールの使い分けに関わる内容を詠っています。
どの相手とどのツールを使って連絡を取るかというのは、相手との親密さや関係性によって異なるでしょう。LINEで連絡する人もいれば、メールで連絡をする人もいます。また電話で連絡を取る人もいるでしょう。
そして普段はLINEやメールで連絡を取っている相手でも、たまに電話で連絡するといつもの調子と少し違うと感じる瞬間もあるのではないでしょうか。
メールも電話も同じコミュニケーションとはいっても、文字のコミュニケーションと音声のコミュニケーションという違いがあり、言葉の端々に表れるニュアンスみたいなものも微妙に変わってくると思います。
下句の「電話だと声がちょっと違うね」という部分は、そのような違いをいっているのではないかと思います。コミュニケーションツールの選択で、相手との関係性には差異があることを伝えてくれる歌だと感じます。
LINEやメールが普及しなければ生まれなかった一首でしょう。今後新たなコミュニケーションツールが登場すれば、また新しい一首が生まれるのかもしれません。