問題 – Question
〈枉げられている意志ひと日持ち重りいま上り帰る螺旋階段〉という巻頭歌で始まる、石田比呂志の第一歌集は何?
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解答 – Answer
『無用の歌』
解説
『無用の歌』は1965年(昭和40年)に出版された、石田比呂志の第一歌集です。
石田比呂志の短歌は、まさに生活、労働、人生に直結した歌にあふれています。職業を転々とし、生活は決して豊かとはいえない中、貧しさを嘆く歌も多く見られます。
対象物をどこか冷めた視点で冷静にその本質を見つめているのも、時代背景、本人の生活環境と無縁ではないでしょう。物が静かに詠まれることで滲み出てくる微妙な感情を、歌の数々から感じずにはいられません。
『無用の歌』から五首
〈職業に貴賤あらず〉と嘘を言うな耐え苦しみて吾は働く
わが影の頭の部分ひとが踏み踏ませておりぬ心和ぐまで
鳥籠の中の小鳥が時ありて空間に浮く飛びたつさまに
なにするとなき夜更けつつ翅青き扇風機が首振り振りている
屋上にコーヒーカップ回るなりわれの目まいの外回るなり