問題 – Question
〈狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフィーリア来て秋ははなやぐ〉という巻頭歌で始まる、大森静佳の第二歌集は何?
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解答 – Answer
『カミーユ』
解説
『カミーユ』は2018年(平成30年)に出版された、大森静佳の第二歌集です。23歳から28歳の作品が収録されています。
「きみ」や「あなた」を対象とした、肉体的な感覚が立ちあがってくる歌に惹かれます。相手の領域へ踏み込み迫るような歌い方が、選び抜かれた言葉と相まって魅力的な歌の数々をつくっています。
また火を詠んだ歌がたびたび登場しますが、これらの歌は、火や燃えるという像に横軸としての時間が重なり、瞬間的な熱量だけではなく、時間的幅をもった感情の太さを感じさせてくれます。
2019年、本歌集で第12回日本一行詩大賞受賞。
『カミーユ』から五首
曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたのの死後へ
時間っていつも燃えてる だとしても火をねじ伏せてきみの裸身は
欲望がフォルムを、フォルムが欲望を追いつめて手は輝きにけり
そののちの長い月日の 狂うとき素足はひどく透きとおるけど
全身できみを抱き寄せ夜だったきみが木ならばわたしだって木だ